プロ3年目の細野勇策(ほその・ゆうさく)が、開幕初日に「65」をマーク。
最後9番は、145ヤードを残して9アイアンを握った2打目がグリーンの旗竿を直撃した。
ガシャン、と派手な音が響いた。
絶好のチャンスに落ちた。
「距離は1メートルとちょっとくらい。でも、最後はラインの読み違えか打ち間違えたか・・・」。
苦笑いのバーディ逃しにはなったが、17番ではイーグルと、バーディは6つ。
前半11、14番の2ボギーは「今年の“デビュー戦”。思ったように動かなかった」という開幕戦ならではの緊張も徐々に和らぎ3位タイ。
上々の滑り出しを見せた。
心臓に生まれながらの持病があり、生後2ヶ月で手術をしたが、その面影はもうない。
ファイナルQT9位で出場資格を得た今季、飛距離アップと体力強化を目指して人生初筋トレに挑戦。
好物のお肉を食べたいだけ食べ「もう限界、となってから、お母さんのおにぎりを食べたり」と、わずか3ヶ月で72キロ→80キロの増量を成功させた。
「蛮勇」の「勇」に「策略」の「策」が「勇策=ゆうさく」の由来だそうだ。
安定感を増した左打ちで「バーディが狙いやすい上りのラインにつける」と、マネジメント力も発揮。
初体験のコースで、名前どおりの果敢な策士ぶりも光った。
鉛筆もお箸もクラブも左で握り、小学5年頃までは女性用のクラブを短く切るなど、道具にもひと手間要った。
「練習場の打席はいつも端っこ。フェードボールがネットに当たる」と、ジュニア期には不便もあったが、今は米のレフティ、バッバ・ワトソンと同じピンの契約選手。
「他ではないクラブでも、必ず用意していただける」と、メーカーの恩恵を受けて、今では何不自由なくキャリアアップに励める。
出身は山口県。でも、本格参戦を契機に、神奈川県に本社を置くスーパーマーケット「ロピア」と所属契約を結べたのは、社長も左利きというご縁から。
「いいこともあるんです」と、試合に出られるようになったらたちまち良いことずくめ。
日本勢のサウスポー優勝なら、1991年の羽川豊(はがわ・ゆたか)氏以来。
「普段は左利きでも、ゴルフは右打ちに変える人がほとんどと聞きますが、僕のプレーを見て自分もと、言ってくれる人が増えたら嬉しいですね」。
さっそく、初日の反響も楽しみだ。