次週はいよいよ、ゴルファー日本一決定戦。日本オープンは、10月11日に横浜カントリークラブで開幕する。その目前に、5人のプロが熊本で、大事なミッションを済ませに行った。
あの大震災が起きた年から始めて、今年で3回目の「ゴルフで熊本県を元気に! スナッグゴルフ体験会」は「in大津町(おおづまち)」。
10月7日は、3連休のなか日に阿蘇のふもとの町に駆けつけた。
JGTO会長の青木と県出身の永野とアトムはもはや常連。
そして武藤は任せて安心!! JGTOのスナッグゴルフ担当理事と、今季絶好調の秋吉は、ほんとにあなたは県プロですか?!
冗談めかしてアトムが言う。「こいつは、熊本を裏切った」。
冷静沈着に、永野が詰め寄る。「翔太、おまえ・・・熊本に帰ってくる気はあるのか?」。
結婚を機に、今は福岡の北九州市に住む。今のところUターンの予定がない秋吉だけど、今ももちろん熊本ラブ。
この日は自宅から、車で2時間かけてやってきた。昨年末以来という里帰りで2年半前に、愛する故郷に何が起きたか改めて思い知った。
スナッグゴルフの講習会の前に、大津町の家入勲(いえいりいさお)町長の案内で、阿蘇大橋を見に行った。未曾有の大崩落にのみ込まれた現場は震災直後にアトムが涙を流した熊本のシンボルのひとつでもある。
「昔は練習に行く時に、僕もよく通った」(秋吉)。
2020年の完成を目指して復建中だが深くえぐられた山肌は、本当にそんな短期間で元に戻るのかと不安になるほどだ。
直後は、4日間の不眠不休で救助活動にあたったという消防士のお父さんから秋吉も、被害の状況は聞いていたが「これほど大規模なものだったとは・・・」。実際に目の前にして、胸がふさがる思いがした。
秋吉の2つ年上の永野の益城町(ましきまち)の被害も相当なものだったが、ここ大津町もまた、4200もの建物が倒壊し、今も209世帯が仮設生活を余儀なくされている。
大津町役場もいまだプレハブの仮庁舎。新庁舎の完成は、2020年まで待たなければならないという。
家入(いえいり)町長は、「プロゴルファーのみなさんを、プレハブにお連れするわけには」とこの日の集合場所を、スナッグゴルフ講習会の会場となった「大津町運動公園」の敷地内事務所に指定したことを、詫びていた。
この日、スナッグゴルフのコーチングセットが寄贈された大津町の小学全7校を代表して、大津小6年の清原豪くんは、お礼の挨拶の中で当時の被害状況を淡々と語ってくれた。
子どもたちが受けた心の傷を思えば永野も、アトムも、秋吉も、特に県出身の3プロは、自然と同意見でまとまった。
「僕らに橋や、道が作れるわけではないけれど。凄いことは出来ないけれど。熊本の子たちのための取り組みは、これからもずっと長く続けていかなければならない僕らの課題」。
大津町では小学校の部活動から地域あげてのスポーツクラブへの発展が推進されており、スナッグゴルフも同様の展開に期待がかかる。さらにお隣の菊陽町との連携も生まれてくれば、普及活動にもいっそうの拍車がかかるはずだ。
「ここ大津町から、プロゴルファーの誕生を」という家入(いえいり)町長の願いがかなえばいいな、とプロたちも心から思う。
この日、午後5時から始まった講習会は、あっという間に陽が落ちて、最後の子どもたちとのガチンコ対決は、スナッグ史上初のナイター決戦!!
どちらも譲らぬ真剣勝負は、暗闇の中でもあかあかと火花が散った。
投光器の灯りと一番星が、プロと子どもたちの笑顔を生き生きと照らしていた。
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