KidsGolf

スナッグゴルフからゴルフへ輝きはなつ〈兵庫県編〉(10月23日)

日本ゴルフツアー機構(JGTO)がゴルフの裾野を広げるべく展開している、『JGTOキッズゴルフ応援プロジェクトリシャールミルジャパン財団』の取り組みは、2003年の活動スタートから数えて今年で22年の実績を積み重ねている。



小学生がいつでもどこでも楽しむことが出来る、アメリカで開発されたスナッグゴルフの用具を小学校に寄贈導入し、そこにプロゴルファーが訪問してゴルフの楽しさや魅力を伝え、更にプロゴルフトーナメントに来場してもらい、実際のプレーも見てもらおう、という一連の施策である。

もちろん男子プロゴルフトーナメントに限らず、自治体が組織として取り組む普及活動にも連携して関わり、一人でも多くのお子さんがゴルフを知りゴルフを楽しめる仕掛けを作っている。


兵庫県では、JLPGAツアー•サントリーレディスオープンによる阪神淡路大震災からの復興を願った社会貢献活動の一貫として、スナッグゴルフ用具の寄贈を受けた神戸市立塩屋北小学校が、県のスポーツ普及施策である『スポーツクラブ21』の取り組みに沿って、塩屋北スポーツクラブ(塩屋北スナッグゴルフ)を立ち上げ、その発起人である竹部法子さんが、児童の募集から定期的な練習、そして大会への参加まで、一貫した活動をかれこれ18年に渡り続けている。


活動初年度は、ゴルフはおろかスナッグゴルフなど知る余地のない全校児童を対象に、お試し体験会の案内チラシを配布。子どもたちにとっては真新しいニュースポーツということもあり50人を超える参加があった。

その後、本格的なスポーツクラブへの登録のためアンケートをとったところ、ある程度の希望者数が見込めたため、正式な登録を行い6人のチームメンバーが決定、その中の一人が現在ツアーで活躍中の吉田泰基であった。


吉田は塩屋北小スナッグゴルフチームの初代キャプテンとして全国大会にも出場、その伝統が脈々と受け継がれ、今年高校2年生となり様々な大会で頭角を表し始めた黒﨑美羽さんも、塩屋北小スナッグゴルフクラブでゴルフの楽しさを知り、ゴルフにハマった次なるプロ予備軍の筆頭と言っても良い。


黒﨑さんのスナッグゴルフとの出会いは図書館だった。

当時、本の貸し出しを担当していた竹部さんから声がかかり、ゴルフとは縁もゆかりもない女の子がスナッグゴルフクラブに入ることに。

以来、真面目で努力家の黒﨑さんは、お友だちと一緒に練習に励み、全国大会でも活躍するようになり、6年生では吉田と同じキャプテンも務めた


ブリヂストンレディスを4日間戦い抜いた黒﨑美羽さん


そんな吉田と黒﨑は、初代よりチーム監督を務める竹部さんの引き合わせで、再来年2026年に日本女子オープンが開催される宝塚ゴルフ倶楽部旧コースを、仮想練習ラウンドということでこの秋に一緒にプレー。

コースマネージメントや試合への向き合い方、トレーニングや食事など、いずれ迎える新しい環境に向けて、沢山のコミュニケーションが青空の下で交わされた。

宝塚ゴルフ倶楽部は、スナッグゴルフ対抗戦兵庫県予選会の舞台として、吉田も黒﨑もスナッグゴルフで競い合った思い出の地でもあり、歴史あるその地で感慨深い交流を深めた。


竹部法子さん 黒﨑美羽さん 吉田泰基(宝塚ゴルフ倶楽部にて)


黒﨑さんは中学3年の時に、全国中学校ゴルフ選手権春季大会で優勝、高校2年生となってすぐの5月には、JLPGAツアー・ブリヂストンレディスオープンを、マンデー予選の狭き門を潜り抜け、本戦に進出して4日間を戦い抜き、9月のステップアップツアー・ECCレディスでも活躍してベストアマを獲得。更に年内に出場が決定しているステップアップツアーに向けて日々練習を重ねている。


続いて宝塚市でのゴルフ普及に話題を移すが、宝塚ゴルフ倶楽部の地元、宝塚市でもスナッグゴルフの普及が進んでいる。

非営利活動として推進する一般社団法人という役割もあり、市内23の小学校には、ゴルフ場による社会貢献活動として、スナッグゴルフ用具が全校に寄贈導入されており、その活動も進められている。


宝塚市ゴルフ協会による定期的なスナッグゴルフの練習会から始まり、7月には宝塚市民スナッグゴルフ大会を開催、続く8月には全国大会への出場権獲得を目指した兵庫県予選会も開催され、その参加者も年々増加傾向にある。

日本ゴルフツアー機構の初代会長だった島田幸作宝塚ゴルフ倶楽部のヘッドプロだったという縁もあり、その活動は倶楽部の歴史を追いかけるように連携して今も続いている。


兵庫県内では他にも、井吹東小播磨小がスポーツクラブで、西宮市では市のゴルフ協会がその普及活動を担っていて、すでに予選会で全国大会への出場権を獲得している。



JGTOキッズゴルフ応援プロジェクトリシャールミルジャパン財団第21回スナッグゴルフ対抗戦JGTOカップ全国大会in三木市は、11月30日(土)にお隣の三木市にある三木ゴルフ倶楽部で開催されるが、三木市でも活発な普及活動が展開されている。


市内に25あるゴルフ場を通じて納付される、ゴルフ場利用税をゴルフの普及につながる取り組みに活用するという、全国でも例を見ない仕組みが構築されており、その行事やイベントの数も飛び抜けて多い自治体と言って良いだろう。

春高春中ゴルフ選手権(日本高等学校•中学校ゴルフ連盟主催)の開催をはじめ、老若男女のあらゆる世代でのゴルフ普及が図られ、そのためのセクションとして、市役所内にゴルフのまち振興課という専門部署も設置されているほどだ。

そんな活動PRが功を奏してか、男子プロゴルフツアーのACNチャンピオンシップも開催されたばかりだ。


このような取り組みの盛んな兵庫県からは、吉田泰基に続くプレーヤーがどんどん生まれてきそうである。