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サントリーオープン 2000
「アピールしたいと思った」
実力がありながらツアー出場権のない選手発掘のため、今週月曜日に行われた出場予選会。これを通称、『マンデートーナメント』と呼ぶ。
井上信というプレーヤーも、このマンデートーナメントから勝ちあがってきた選手のひとりだ。
井上はこの日、71でまわって通算3アンダー、19位タイにつけ同トーナメントからの出場選手中トップタイ(同スコアの柳沢伸祐もマンデーから)でホールアウトした。
「17番でたった50センチのパーパットをはずしたのが痛いけど、今日のスコアはまずまず満足できるものです」。
そして、今日のスコア以上に井上が、「嬉しかった!!」と声をはずませるのが、3日目をあのニック・プライスとラウンドできたことだった。
朝のスタートティで、プライスのほうから『よろしく』と握手を求められ、頬を紅潮させた井上。
「本当に感動した。相手は、メジャー3勝の世界的なプレーヤーでしょう。この偉大な人に、今日は自分も、少しでも何かアピールできれば、と思った」という。
井上が誇れるものは、平均290ヤードを超える飛距離だ。
ラウンド中は、常にプライスより15ヤード以上、オーバードライブ。さらに12番の右ドッグレッグホールでは、フェードボールでフェアウェーをとらえたプライスに対し、井上は右の山越えで300ヤードドライブ。50ヤード以上、突き放す場面もあった。
「…なんてね、そのかわり、あっちはいつもフェアウェーキープで、僕はラフなんですけど(笑)。でも、それでも、ちょっとはいいところ見せられたかな?」
プライスの偉大さも、肌で感じ取ることができた。
「いつもは100%の力で打ってこない。流すところは流す。けどチャンスが来たら猛然と取りにくる。そのメリハリがすごいと思った。僕も、あんなプレーヤーを目指したい」
“ラビット”にとって、実り多き1日だったようだ。
★ 井上信
高校2年のとき、堀越学園(当時名称)で、ゴルフ部に入部、本格的にゴルフを始める。
その後、法政大学に進み、同じくゴルフ部で腕を磨いた。
98年にプロテスト合格。ツアーの出場権が得られるクォリファイングトーナメントはセカンドステージどまり。今季は、5月のマンシングウェアオープンKSBカップ(推薦出場、予選落ち)に続く2戦目。今大会は今季初の予選通過で、ツアーでの初賞金を獲得した。