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ゴルフ日本シリーズJTカップ 2008

横尾要が単独首位に

この時期には珍しい春を思わせるような陽気にスタートの1番でセーターを脱ぎ去って、半袖姿になるなり前半怒濤の6バーディ。勢いは止まらず、17番までに10アンダー。そのままホールアウトすれば、昨年覇者のブレンダン・ジョーンズが最終日に達成したコースレコード61を更新するばかりか「人生で一度くらいは」と本人も願った50台も夢ではなかっただけに、ホールアウト後の第一声は、思わず声が裏返った。

「18番をもう一回やらして下さい!」。

最終ホールはツアー屈指のパー3。
227ヤードと距離が長いばかりか、待ち受けるグリーンは奥から下りの急傾斜。
クリークで打ったティショットは「大きいかな…」。若干の迷いが手元を狂わせた。
「クラブが開いちゃって」。
右手前バンカーに打ち込んだボールは、姿がほとんど見えないほどの大目玉だ。

脱出に失敗し、続く第3打は大ホームラン。
ようやく手前6メートルに乗せたがこれを外した。トリプルボギーで終ってみれば、結局2位と1打
差の7アンダー。
「もったいない」と地団駄を踏みつつ、「まあしょうがない。それまでが良すぎたからね」と、欲張らない。

63は、自身の大会ベストスコアだ。
しかも昨年は、せっかくつかんだ出場権をフイにした。
火曜日に腹痛を訴えて虫垂炎との診断。その日の深夜にメスを入れた。

上位25位までしか権利がないこのツアー最終戦。
お医者さんには「薬で散らせないですかね」とお願いしてみたが、どうやら盲腸が癒着していたようで「とんでもない」と、叱られた。

実際に手術は2時間にも及び「去年の今頃はベッドの上にいたから。出られるだけで幸せです」と、それほど思い入れのある大会で、単独首位スタートに「十分です」と、痛恨の18番はさておき最後は笑顔で振り返った。

特に今週は、心強い味方がいる。
昨年の賞金王・谷口徹のエースキャディの清水重憲さんは今大会はもちろん、5月にここ東京よみうりカントリークラブで行われる5月の女子ツアー「ワールドレディスチャンピオンシップサロンパスカップ」で昨年は上田桃子選手の、今年は北田瑠衣選手のバッグを担ぐなど、コースを知り尽くしている。

今年は残念ながら谷口が今大会の出場権を逃したと分るや、すぐにオファーを出した。
横尾の期待に応えようと、これまで使ったコースメモをすべて持って会場にやってきた清水さんは、

「分らないことは、何でも聞いてください」。
その言葉に甘えて「もう聞きまくりです。完全に頼り切ってる」と、絶大な信頼を寄せている。

横尾の今季最高位は5位。
そして、清水さんのボスの最高位も5位。
「だからそれを上回るゴルフをしようと2人で約束してるんです」とは清水さん。
残り3日目も二人三脚で、今季ツアー最強の称号を目指す。

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