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石川遼は2年連続のUnisysポイントランキング賞に
「僕は本当に値する選手なのかどうか」と、苦笑いで首をかしげた。
同賞は平均ストロークをはじめ、平均パットなど全9部門の順位をポイント換算し、その合計によりランキングを決定するものである。
「総合的に優れた選手が取る賞だってことでしょう?! ありえない。僕じゃないと思いますよ」と、頑として言い張った。
確かに、賞金ランキングと最優秀賞選手賞のほか、平均ストロークと平均パット数と、バーディ率でトップに輝き、9冠達成の2009年と比べると、今年は本人にも物足りない1年だったかもしれない。
日頃から「1日4つが目標」と公言するなど、こだわりのバーディ率賞で、4.32%を記録して、2年連続の1位を獲得したことはひとつ、大きく評価出来る点だが、「それにしても僕より優れている人は、他にいっぱいいる。とても僕が総合的に優れている選手だとは言えない思う」と、釈然としない表情で繰り返したのである。
ファンのみなさんが「もっとも印象に残った選手」を選んで投票する「MIP賞」で、4年連続の1位に輝いたこともまた、その思いに拍車をかけたようだ。
自分へのダメ出しと尽きない反省は、昨年のちょうど今頃までさかのぼる。
「去年の今頃は、祝福ムードのオフでした。みなさんから“賞金王、おめでとうございます”と言われて、それでちょっと浮かれていた部分もあって。自分自身ちょっと休憩しようか、という感じがあったと思う。せっかく最終戦までリズム良くきていたのに、これで終わったんだという安堵感から、ゴルフから離れすぎたと思います」。
そのツケは、さっそく開幕戦から回ってきた。東建ホームメイトカップでいきなりの予選落ちを食らった。
その2週後の5月の中日クラウンズで最終日にギネス記録の58をマークして、今季1勝で弾みがつくかに思われたが、「前半、良かったのはそれくらいで」。
思うような結果に恵まれず、「去年の賞金王にふさわしいゴルフが出来ていない」と、その責任の重さにも、ひそかに苦み続けた1年だった。
ツアー最終戦まで2年連続の賞金王の可能性を引っ張ったことには「満足」とは言いながら、「最後にチャンスを生かせなかった。期待に応えられなかった悔しさはある」と、唇を噛む。
そんな忸怩たる思いが、息つく間もなく19歳に前を向かせた。
「昨年のオフの経験を踏まえ、今年はオンとオフで切り替えないで、もう今からでも素振りをして、ボールも打って、来年につなげたい」と、気は逸る。
「日本シリーズでは良いプレーが出来たし、良い形でシーズンを終えられたので」と、最終戦で掴んだ確かな手応えをもとに、「来年も1年を通して賞金王争いに加わるのが目標です」。
さっそく来季の王座奪還を見据えていた。
※「Unisysポイントランキング賞」を受賞した石川には、12月6日(月)に都内のホテルオークラ東京で行われたジャパンゴルフツアー表彰式で、記念のトロフィと、日本ユニシス株式会社の福永努・代表取締役副社長 執行役員より賞金100万円と、「東京ディズニーランド カウントダウンパーティ2011 パスポート」が贈られました。
※石川の世代なら、なおさら喉から手が出るほどに欲しい副賞について、「薗田先輩に“俺にくれよ”と言われました」と、苦笑い。「一緒に行く人? 見つからないと思いますよ」と、きっぱりと言い切る様子からも、早くも来季にかける並々ならぬ思いが伝わってきた。