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ダイヤモンドカップゴルフ 2011
富田雅哉はオフのハプニングを乗り越えて
新しいシーズンにむけて、ちょうどモデルチェンジを考えていたところだったとはいえ、フェアウェーウッドや、オウンネーム入りのウェッジなど、手放したくない宝刀も何本か入っていた。
すぐに、メーカーに新しいのを作ってもらったが、特にお気に入りだったスプーンはなかなか以前のとおりとはいかない。
「少し前まではフケたり、右に行ったり左に行ったり」。球が散らばったが、それがようやくここに来て、しっくりと行きだした。
「やっと納得出来るショットになってきた。かなりわがままを言って、調整してもらったおかげです」。
飛距離を生かして、長いパー5も「ドライバーとスプーンで2オン、とか」。また、前半の2番で13メートルのバーディトライを決めるなど、「オバケみたいに入った」と、パットも好調という富田が歓喜の涙を流したのは、2週前。
日本プロゴルフ選手権で、ツアー初優勝を飾った河井博大(ひろお)。田中秀道を師匠に、ともに練習を積んできた兄弟子の快挙に、富田も自分のことのように、目を真っ赤にしていた。祝福に駆けつけた18番グリーンで、「感動しました」と言って、抱きついた。
「あれは本当に嬉しかった」。と、同時に沸いた思いは「俺も頑張らないと」。
ここ千葉カントリークラブ梅郷コースは狙いどころが狭く、ラフが深いという難条件が、かえってツアー通算2勝目を後押ししてくれそうだ。
身長185センチの飛ばし屋だが、「狭いコースの方が好き。今週のように、木に囲まれた方が僕には広く感じる。“あそこに打っていかないと”と思わせてくれる。集中出来る」。このまま上位に「食らいつく」。そして今週こそ自分のために歓喜の涙を流す。