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女子のLPGAは最下位に……

ここぞとばかりにおねだりだ。横峯さくらが、特にあのシニア勢もいちころの、潤んだ瞳で訴えた。「来年は、ぜひ縮めていただけたら、と」。
シニアと、女子と、男子と。飛距離も、パワーも異なる3ツアーズが、同じステージで戦う上で、どうしてもネックになるのが、コースセッティングだ。

それを考慮して、大会で使用する千葉県はキングフィールズゴルフクラブの9ホールは、男子の総距離は3532ヤード、シニアは3377ヤードに対して、女子はティーイングラウンドがもっとも前の3029ヤードと、一番短くなっている。

今回は、後半のシングルス戦でなんと5アンダーをマーク。前半のダブルス戦でも馬場ゆかりと組んで、3アンダーは出場18人中最多の合計8アンダーをマークしておきながら、それでもまだ「女子の距離は長すぎると思う」と、言い募る横峯に、樋口久子・日本女子プロゴルフ協会会長も、加勢した。

「男子も、シニアのみなさんも、ますます飛距離が伸びていく中で、女子は最初に決めたティグラウンドと、ほとんど位置が変わらない。これは非常に苦しい」。

LPGAが頂点に立ったのは、2006年の一度きり。2位も昨年の一度きり。それ以外はすべて最下位に甘んじて、今年は15ポイントしか稼げずに、また「定位置」(樋口会長)についた。

それでも前半の9ホールはオルターネートのダブルス戦では、まだ男子の8.5ポイントに次いで、5.5の2位と、逆転の可能性も残していたのだ。

だが後半のシングルスでシニアの逆襲に遭った。
これについても樋口会長は、「PGAのみなさんは、口と腹が違うじゃないですか」と、非難ごうごう。
「始まるまでは、僕らは順位にはこだわらない。3位でいいんだぁ、とかおっしゃりながら、いざとなったらやっぱり2位を狙ってくるだなんて」と、懸命に訴えても、今となっては遠吠えにしかならない。

有村智恵も、初出場の藤田幸希も、身長149センチは、女子ツアーでもっとも小さい馬場も、全美貞(ジョン・ミジョン)と、女王のアン・ソンジュの韓国勢2人もけなげに最善を尽くしても、なお頂点に届かなかった。
「この大会の一番の目的は、チャリティですから」と自らをなだめすかしてみても、「やっぱり悔しい」。

今度こそ最下位からの脱却も、そのために思いつくことはもはや、ひとつしか見あたらない。「本当に来年は、セッティングを考えてもらわないと」と改めて、念押しをした。
「毎年、最下位なんて、非常に居心地が悪くて。早くここから脱出したい」と、哀願した樋口会長に、女子ツアーの面々も一様に、神妙に頷いていた。

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