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三井住友VISA太平洋マスターズ 2010

中3年の伊藤誠道くんがベストアマチュア賞を獲得

優勝スピーチで壇上に立った石川遼が、かたわらの15歳に目を細めた。思えば4年前。自分もその席に座っていた。
ベストアマチュア賞の表彰を受けて、チャンピオンのブレンダン・ジョーンズと、席を並べたのは杉並学院高1年のときだった。

感慨深げに振り返る。
「あれからあっという間に4年がたって、今年は中学3年生の伊藤くんが、あそこに座っています」。
年々、急加速的にレベルを上げて行くジュニアたちの勢いには15歳8ヶ月と3日の史上最年少で、ツアー初優勝を達成した石川さえも、目を見張るばかりだが、その牽引役は間違いなくその石川である。

いまではジュニアの誰もが憧れの選手として「遼くん」の名前を挙げる。また、同時に同年代の子たちはこう思う。
「遼くんが出来るなら、いつかきっと、僕にも出来る」。

最終日に一時は、石川に1打差まで迫った神奈川県は、藤沢市立湘洋中学3年生の伊藤くんも、そんな世代の一人である。そして、あのころの石川に負けず劣らず前向きで、無邪気で、とにかく明るい。

この日は、2番からの3連続バーディに、「パットがポンポコ入って。逆にテンぱった」と、目をくりくりさせた。「だって、どう構えても入る感じしか、しないんですもん!!」。

2〜3メートルのチャンスを立て続けに決めたことで、かえって不安になり次の5番でボギーを打って、それでようやく落ち着いた、と大人たちに身振り手振りで打ち明ける様子は天真爛漫。

最終18番のパー5は、前日3日目よりも、さらに満員の観衆の前で、やっぱりこの日も期待に応えた。
果敢に狙った池越えの2オンは、わずかに届かなかったがきっちり寄せて、バーディフィニッシュ。
「カッコ良く終われて良かった」と、ますます笑顔を深くした。

今週は連日、お父さん、お母さんの声援を受け、またキャディの米山勇樹くんの好アシストに感謝した。
アマの大会で一緒にラウンドして以来、意気投合したひとつ上の大親友は、ツアープレーヤーの米山剛の息子さんだ。
「そばにいてくれるだけで、凄く楽な気持ちでプレーが出来る」と、好プレーの最大の要因に。

最終日は谷口徹と、宮本勝昌と、ビッグネームに挟まれてのラウンドも、物怖じするどころか、「お2人ともすっごく優しくて。楽しかった!」とすっかりツアーに味をしめ、「次はもっと良いゴルフが出来るように頑張ります」。
出場を予定している2週後のカシオワールドオープンに向けて、早くも胸を高鳴らせていた。

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