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三井住友VISA太平洋マスターズ 2009

シード権の復帰を狙う田中秀道は

ホールアウトして、スコアを提出したあと、しばらくアテスト場の出口付近で呆然とたたずんでいた田中は、ポツリと「精一杯やりましたが、残念でしたね」。

最終日はサスペンデッドとなった前日3日目の残りホールと合わせて計23ホール。
長丁場に加え、上空を舞う強い風。
公傷明けの体には、特にタフな1日だった。
それでも「いまは普通の人が感じるのと同じ感じの疲れ」と無事に帰還して、怪我の完治を実感することも出来た。

まだ本調子ではないショットで何度も林に打ち込みながら、ゲームを捨てることなく「最後まで丁寧にプレーも出来た」。
この日は、早朝から競技再開後の第3ラウンドの6番では、残り96ヤードの第3打をサンドウェッジで「完璧に打てた」。イーグルを奪うなど、日本ツアーでいうなら、2002年に2位につけた今大会以来のトップ10入りも果たすことが出来た。

「もう何年もこういう位置でプレーしていない自分がここまでやれたのは良かったんだと。あと1時間くらいもすれば、じわじわと出て来るんでしょう。でも、今はやっぱり悔しい」。

今季は、試合中の怪我を公傷とみなす特別保障制度の適応を受けて、復活を狙う田中は出場権のない次週のダンロップフェニックスを視野に、トップ5入りを目指したが10位タイに実現出来なかった。

賞金ランクは74位にとどまって、シード権が与えられる上位70人のボーダー線も越えられなかった。

このあとの試合で主催者推薦を受けられる可能性もあるが、現状のままでは来季の出場権をかけた予選会ファイナルクォリファイングトーナメント(QT)に出場するしかない。

この2日間は、弟子の富田雅哉とのラウンドで「せっかくのポテンシャルを生かせていない。自分を分かっていない。もっと丁寧にプレーをしてはどうか」と、のど元まで出かかったお説教も、寸前でのみ込んだ。

「今は自分がこういう状況だから、まだ……」。
身長166センチの師匠に対して、185センチの富田にも「そのうち上から見下ろしてモノが言えるように頑張らないと」とまずは自らを戒め、「もしシード権がダメでも、気持ち良くQTに行ける状態にはしておきたい」と、懸命に前を向いていた。

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