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日本オープンチャンピオンが登場
その“主役”は予定より3時間も前に会場にやってきて、隅っこで大きな体を縮めて不安そうにつぶやいた。
「誰も集まらなかったらどうしよう」。
昨年の日本オープンチャンピオンは、小田龍一。
メジャーでのツアー初優勝は、最終日に大きく曲げたティショットが愛妻の優子さんを直撃し、跳ね返って戻ってくるという展開もドラマチックなら、今野康晴と石川遼とのプレーオフを制したその勝ち方も、劇的だった。
存在を強く印象づけた2009年。「誰も集まらないなんて、そんなはずはない」と、スタッフがなだめても本人は頑固に首を振る。
「いや、僕なんて、来ていただいても2,3人くらいでしょう?」と、どこまでも自虐的な性格も、しかしサイン会が始まるなりどこかに吹き飛んだ。
開始10分前から長蛇の列。
それでも本人は、「いや、誰でも良かったんでしょう」と言い出しかねないからあらかじめ断っておくが、「小田龍一プロだから来たんです」。
そう力強く言ってくれたのは、神奈川県から一番乗りした六笠龍星くん(小4)だ。
昨年の日本オープンは、お母さんと妹の南海ちゃん(小3)と観戦した。
特に印象に残ったのは、その優勝スピーチだった。
「小田プロは、お喋りが凄く上手!」と、たちまちファンになったという。
ゴルフを始めて3年目という龍星くん。
念願の対面に、「僕も小田プロのように頑張ります」と張り切った頬がほんのりと上気した。
埼玉県からお母さんと、3歳になる弟の聡太くんとサイン会に来てくれた川野美穂ちゃん(中1)は、ずっと前から小田のファンだった。
ツアーきってのスイングに目が釘付けになった。「凄くかっこいい!」。
美穂ちゃんは以前、石川と同じジュニアの大会に出場したことがある。
コースですれ違ったときのことが印象的だった。
その石川を倒して頂点に立った。
「小田プロが日本オープンで遼くんに勝ってから、ますます好きになったんです」。
この日も憧れの人を目前にして、感無量。サインを大事そうに握りしめて本当に嬉しそうだった。
そんな反響を耳にして、喜んでいいはずなのに、この人はやっぱりどこまでも控えめだ。
ファンの一人に「今年は連覇を狙ってください」との声援を受けて、相変わらず首を振る。
「いえいえ無理です」とうつむき加減に、「期待しないでください」とまでつぶやく始末だ。
根っからの引っ込み思案は、大勢のファンに囲まれるほど、いたたまれなくなる。
「どうか、そっとしておいていただけたら」。
そうモジモジと言いながらもひとたびコースに出たら、豪快な飛距離と怖い者知らずのプレーぶりで、人々を惹きつけてしまう。このギャップも魅力のひとつだ。
※「ジャパンゴルフフェア2010」の21日(日)最終日には、JGTOブースに宮本勝昌が登場。11時から30分の予定で、サイン会を行います。
また、JGTOが推し進める環境活動に関するミニイベントや、石川遼&池田勇太のオリジナルクリアファイルを無料配布しています。
数に限りがありますので、ご希望の方はお早めにお越しください!!