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TOSHIN GOLF TOURNAMENT IN Lake Wood 2010
池田勇太が恩返しの今季初V
その舌の根も乾かぬうちに、2番でボギー。3番ではダブルボギー。
「あの2ホールは、ミスじゃない。2メートルのパーパットは外したけれど、ちゃんと打ててはいたし、3番では3打目が風で戻ってきたり。だからミスじゃない。躓いたというほどじゃない」と、弁明したがこの2ホールが、戦いを厳しくしたことには違いない。
強い風に加え、左右に振られたシビアなピン位置。
公約の大量アンダーどころか、「このままじゃ優勝も出来ないのではないか、と思った瞬間もありました」と、さすがの若大将も弱音を吐いた場面も。
12番のバーディ、ボギーで一度は薗田に1打差まで詰め寄られた。
16番で、3メートルの下りのフックがカップに沈んだのを見るまでは、おちおち息もつけない。
「手に汗握る接戦でした」。結局、3打差で逃げ切って「今日は非常に長い1日」。その締めは、18番でタップインのウィニングパット。最後は堂に入ったガッツポーズを披露して、恩に報いた。
この週は初日から、悪天候による2日連続のサスペンデッドもなんのその。1日2ラウンドの2日目は10アンダー。さらに第3ラウンドは64をマークするなど過酷な条件の中で、大きく成長した姿を見せた。初代チャンピオンとして、思い出の地に立った。念願の今季初V、またツアーは通算5勝目の優勝スピーチは、今まででもっとも感慨深いものだった。
「ここは、僕にとってスタートの場所。いわばここは俺の原点。そこで今、こうして優勝出来たことを誇りに思う」。
あれは、2年前の2008年。それは、レギュラーツアーへの登竜門。その年、デビューしたばかりの“一年坊主”はやはりここ、トーシンレイクウッドゴルフクラブで行われたチャレンジトーナメント「トーシンチャレンジ」で、2位につけたことがある。
これを機に、石田社長と懇意になり翌年の2009年は、キャップに「TOSHIN」のロゴをつけ、同社のホストプロとしてツアーで1年間を戦った。
献身的なサポートを受けてのシード元年は年間4勝を挙げて、石川遼と最後まで賞金レースを争った。
その同社がいよいよ今年、レギュラーツアーの第1回開催に踏み切った。大会初代の王座獲得は、1年越しの恩返しだ。
怪我で悩まされた昨年終盤の反省から特に体調管理は万全に、福田努トレーナーとタッグを組んで迎えた今季、公約に掲げたのは「まず1勝」。
だが今年は海外にも活躍の場が広がったことで、「2月から行ったり来たりで、アメリカに染まるわけでもなく、日本に染まるわけでもなく」。
体調も、ゴルフも好調を自覚してなお、心はどっちつかずのまま満足のいく結果も残せず、いよいよ開幕から3ヶ月あまりが過ぎてしまったが、「やっと今週は、池田勇太らしいゴルフが出来て、光が見えてきたかな。遅かれ早かれ、ここで1勝出来たのはデカイ」。
今年最初のノルマを、この第1回大会で達成出来たことも何よりの喜びだ。
感激の優勝スピーチで、今度は大勢のファンの前で約束した。
「今年はこれから2勝、3勝。昨年以上の優勝を目指します」。
そう若々しく声を張っていたくせに、馴染みの報道陣の前ではあまのじゃく。
「今年の目標は4勝以上?」と改めて聞かれると、「それは4勝したあとに聞いて」と、意地悪くはねつけた。
昨年は、石川に譲った賞金王も「暮れになったら聞いて」と、はぐらかす。
何事も、「やってみなくちゃ分からない」がポリシーだ。2週後には、2年連続の全英オープン。「でもコースは去年と違うし、どうなのって聞かれても、こっちがどうなのって聞きたいよ。行ってみなくちゃ分からん」と、含み笑いで煙に巻いた。
「あぁ、でも……」と、いたずら顔で付け足した。
「セントアンドリュースで、記念写真は一杯撮るかな」。
いつでもどこでも等身大の勇太流。その姿勢はゴルフの聖地でも変わらない。