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ジャパンゴルフツアー選手会が小学校訪問をスタート

スナッグゴルフ講習会は、まずはじめにデモンストレーション。豪快なショットで魅せた…!!
すでに経験している子はもちろん、まったく知らない子供たちにも、ゴルフの楽しさや素晴らしさを伝えて歩こう……とは昨年に引き続き、2期目の選手会長に就任した宮本勝昌が今年新たに掲げたことのひとつだ。
それにちなんで自身を含むジャパンゴルフツアープレーヤーたちは、“ゴルフの伝道師”でもあると表現した。
ジャパンゴルフツアー選手会の選手たちで全国の小学校を回り、ゴルフを通じて夢を持つことの大切さを伝えて歩けたらどんなにいいか…。
そんな構想を抱いた宮本は早速、自らその第1歩を踏み出した。

雪深い山陰の街、鳥取県米子市を訪れたのは1月26日(月)。
宮本は、市立箕蚊屋(みのかや)小学校の門をくぐった。

日本ゴルフツアー機構(JGTO)が昨年、主催競技の「UBS日本ゴルフツアー選手権 宍戸ヒルズ」を通じ、ゴルフの初期指導用のレッスン器具“スナッグゴルフセット”を寄贈した小学校のひとつだ。
2003年からスタートした社会貢献活動は、その後の普及活動のほとんどを、これまでレッスンプロに任せてきた。これに宮本が目をつけた。
「それを、僕たちツアープレーヤーの手でやってみないか」との選手会長の提案をきっかけに今年、トッププロたちがリレー方式で、それぞれ全国7校を回ることになった。

そのトップバッターとして手を挙げたのも、もちろん宮本。

この日のスケジュールは3、4時間目を利用して、まずは5年1、2組を対象に、スナッグゴルフ実技講習を行う。
さらに給食を挟んで5時間目には、5、6年生を相手に「夢を持とう」というテーマの講習会。

校長室で出番を待つ間、宮本がJGTOのスタッフについこぼした。
「緊張してきたよ、どうしよう?! 何をどう喋ればいい?」。
前日までに話したいこと、伝えたいことを紙にまとめ、台本を書き、何度もリハーサルしてきたはずだった。
「ゴルフはプロでも、人前で喋ったり教えたりということに関しては僕はまったくの素人」。
まして相手は普段、ほとんど接したことのない小学生たちだ。

「話し方は? 内容は…? 歌のお兄さんのようなイメージでいいのかなあ? でも5,6年生って、もう大人と同じように話しても分る年頃だよね? ああ、どうしよう…」。

普段明るいキャラクターには珍しく、強ばっていた表情も最初の授業ですっかりほぐれた。
体育館で、元気いっぱいの子供たちと一緒にランチャー(パット以外のショット時に使うプラスチッック製のクラブ)を振るうちに、自然といつもの笑顔がこぼれ出ていた。

そしてそれは、生まれて初めてトッププロの授業を受けるこの日を心待ちにしていた子供たちにとっても同じだった。
壁際でその様子を見守っていた岸利也・教頭先生が目を細める。
「ほら見てください、子供たちのあの嬉しそうな顔…。最初は緊張気味だったのに、いまはすっかりほぐれている」。

岸信秀一・校長先生も、目を見張る。
「いつもはやんちゃな子も、すっかり夢中でプロの話を素直に聞いていますよ!」。

このたびの寄贈の応募は、まずゴルフ好きな先生たちから声が上がった。
レポートを書いてJGTOに提出したときは、岸信校長先生も「運動クラブにまたひとつ新しい種目が増えると子供たちも喜ぶだろう」といった、漠然とした構想しかなかった。

しかしいざセットが届いてみると、それがもたらす様々なメリットに気付かされた。
「生きて行く上でのマナーや人に対する思いやりも同時に学べるのだな、と…。自分自身が審判という精神も、素晴らしいではないですか」。

まして、このたびは素晴らしいゲストを迎え入れることが出来た。
トッププロが同校を訪れるのは、創立40年以来の大事件だ。
憧れの存在が教壇に立ち、自ら歩いてきた来し方を語ってくれるという。
「夢を持ちにくい今の時代に、子供たちにそういう機会を与えて頂けるのは非常にありがたいこと」と岸信先生。

そして、その宮本が子供たちを指導しながら心のうちで願っていたことは、「この中から未来のプロゴルファーが誕生してくれればいいのに」ということだ。

講習会の最後にクラスメイトと3人で、プロを相手にパター合戦に挑戦した5年2組の宮本拓海くんは、同姓のプロの存在は知っていたものの今回の講習会について、先生の口から告げられたときもにわかには信じられなかったという。
当日も「まさか、そんな凄い人が本当に僕らの学校に来られるとは…!!」と興奮気味に、レッスン修了後は取材に駆けつけた報道陣の前で、勢い余ってこう宣言していた。

「僕は将来プロゴルファーになります……!!」。
  • 手取り足取りの熱血指導をしながらひそかに考えていたことは「この中から将来のプロゴルファーが誕生してくれれば」という願い
  • プロにパット合戦を申し込んだ小さなチャレンジャーたち(右から2番目がプロと同姓の宮本くん)
  • 講習会の前に行われたスナッグゴルフの贈呈式は、岸信校長先生(左)と、5年1組を代表して内藤遼(はるか)くんと2組代表の小長裕也(こながひろや)くんが受け取った
  • 講習会に参加した遠藤正裕先生の5年1組と、松原早苗先生の2組のみんなで記念撮影…!!

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