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つるやオープンゴルフトーナメント 2005

尾崎直道まごころの、優勝スピーチ

関係者の一致した“尾崎直道・像”は、「気配りの人」だ。「いっつも、見てて気の毒になるくらい、誰かしらに気を遣って歩いているんですよ」(キャディの野本美代子さん)。
優勝スピーチも、そんな直道らしさがあふれ出たものとなった。

まず、真っ先に口をついて出た大会主催のつるや株式会社への感謝の気持は、通り一遍ではない。心のこもった表現に乗せた。
「みなさん、このあとはぜひ“つるやゴルフ”のお店に立ち寄って、今日の観戦の記念になるものをひとつ、買って帰ってください!!」。

ホールアウトするなり、駆け寄ったのも同社の社長の西村文延さんのもと。
「社長は、最後のアプローチで優勝が決まる劇的な展開を期待されていたと思います。完璧なゴルフをしてしまって、スミマセン!」。3打差で逃げ切った自身のゴルフをジョークを交えて詫びながら、祝福の握手を受け止めた。

今年から、新しく優勝副賞についたBMW116iを受け取った。喜びの気持ちも忘れない。
「実は我が家は、もう10年前からBMWに乗っていまして。これでまた、車の新しい“兄弟”ができました。ほんとうにありがとうございます!」。

開催コースの山の原ゴルフクラブへの感謝の気持ちは、最高の賛辞の言葉で。
「僕は、ここのグリーンが大好きなんです。ここのグリーンの速さと美しい緑は、オーガスタにも匹敵する。毎週、こんなコースでプレーができたら、男子ツアーの技術はもっと上がっていくでしょう」。

倒した相手にも、敬意を示す。
「シーハン選手は、一昨年のブリヂストンオープンに続き、僕に負けるのはこれで2回目。・・・内心、僕のことをすごく憎たらしく思っているんだろうな。でも、彼はすぐにこれをまたバネにして、このあと2つは優勝するはず。ゲームを盛り上げてくれた彼にもぜひ、大きな拍手を贈ってください!」。

そして、駆けつけてくれた大勢のギャラリーのみなさんには、感謝の気持ちとともに、昨年までのお詫びの気持ちを精一杯に込めた。
昨シーズンは序盤に体調を崩し、成績が思わしくなかったこともあり、「応援してくださるファンの皆さんの目が、見れなかった」。いつもうつむき加減に歩いていた。

「そんな自分を不甲斐なく、いつも申し訳なく思っていました。今日はそんなみなさんの恩に報いるゴルフができたのでは、と思います。これからも、思いっきり大きな声で『頑張れよ!』って、声をかけていただければ幸いです」。

「見た目はまだ、39歳でしょう?」とおどけたが、5月で49歳。シニア入りまであと1年という歳になって、シーズン3戦目に優勝できるなんて思っていなかった。いまの自分に、女子に押され勝ちの男子ツアーを盛り上げるほどのゴルフが、できるわけがないとも思っていた。

でも、こうして31勝目を達成したことで、新たな闘志がわいてくる。
「俺にも、まだやれる。来週のクラウンズも好きなコースだし、2勝3勝とあげていきたい。男子の技量を、見せていきたい」。

ジョー尾崎が、今季ジャパンゴルフツアーの救世主になる。

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