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三井住友VISA太平洋マスターズ 2012

2試合連続Vがかかるハン・リー

悲願のツアー初優勝を達成した2週前のマイナビABCチャンピオンシップに続く、2試合連続Vを射程に入れたが別段、浮かれるわけでもなく、「今は勝てなかったころみたいに、がむしゃらではないかな」。

確かに勝てずにいたころは、チャンスとあらば「WIN、WIN、WIN!」。血まなこになって勝利を追い求めていた。
「たとえば今年のつるやオープン。あれは勝ちたい気持ちが強すぎた」。最終日を3打差の首位で迎えながら78を打って、13位タイまで落ちた。
晴れて1勝を挙げた今は、あんな失態はもうしない。
「今なら、自分のペースを守ってやれる」と、自信も漂う。

先週は、世界舞台にも挑戦してきた。WGCの「HSBCチャンピオンズ」は、メジャーチャンピオンをはじめ、各国ツアーの勝者が集う大舞台。

「予選落ちもなかったので楽しくやれた」と満喫した。
「凄い選手がいっぱいいた」と、度肝も抜いた。

特に3日目に回ったダスティン・ジョンソン。米ツアーきっての飛ばし屋。「ボクモトブ。デモ、He isモ〜ット、トブ!」。あまりの衝撃に、英語と日本語が入り交じってしまった。
「それに彼のアイアンの精度の高さ。ほぼストレートのドローボールは本当に素晴らしかった!」と、目に焼き付けて帰ってきた。

韓国系アメリカ人は、愛国心をさらに強めて帰ってきた。
先週の会場で配られたトリコロールのリボンは、先のハリケーン被害にあった方々に、哀悼の意を示すためのものだった。
「選手みんなでこれをつけてプレーしたんだ。フクシマもそうだけど、大変な被害に合っている人たちは、いまも世界中にたくさんいる。僕ら一人一人が出来ることは少ないけれど、それでもその方々に対して“あなたのことを思っています”と伝え続けるのは大事なこと。そういう気持ちを忘れずにプレーがしたいんだ」と、そのリボンを大事に持ち帰って、今週もキャップにつけて戦う。

また、参戦から5年になる日本ツアーへの思いを強くした先週でもあった。
中国で開かれた大会で思ったことだが「日本ツアーは毎週、毎週、本当に素晴らしいコンディションに整えられていて、ここでプレーできることは幸せなことなんだと。ギャラリーのみなさんもガイコクジン、ニホンジン。関係なく大きな拍手を送ってくれる。今はここが僕のホームツアー。大切にしたい」というリーは、今週の水曜日に、感謝の気持ちをこめたチョコレートを会場で配って歩いた。

自筆のサイン入りのカードに「おかげさまで優勝することができました! 本当にありがとうございます」とのメッセージを添えたギフトボックスは、報道陣のみなさんが集まるプレスルームにも届けられ、チョコレートはあっという間になくなった。

翌日には「美味しかったよ、ありがとう」とお礼を言われて、恐縮しきり。「いえいえ、本当はもっとたくさん差し上げたかったのですが。少なくてごめんなさい!」。
今年、胸に誓った“ありがとうスピリット”。今週も、相手を思いやる気持ちを忘れずに、プレーをするつもりだ。

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