記事
初日の組合せ発表(6日)
6日(木)の午後6時30分から、大会のオフィシャルホテルのシェラトン・グランデ・スクンビットのボールルームで行われたカクテルパーティ形式の組合せ発表会は、両キャプテンが持ち寄ったドローを順番にぶつけ合う形で行われる。
毎年、パター合戦やアプローチ合戦で決定していた第1組目の発表順。
今年はジャパンゴルフツアーの専務理事で、大会のトーナメントディレクターをつとめる山中博史のコイントスで決定することになった。
青が出たら、ヨーロッパに最初の決定権が与えられる。赤ならアジア。
……緊張の一瞬。
青と出た。欧州キャプテン、コリン・モンゴメリーは、迷わず「先行」を選んだ。そして、たいして間を置かずにあっさりと切り出した。
「ヘンリク・ステンソン、ヨハン・エドフォルス」。
このモンゴメリーの即決、即断に面食らったのがキャプテン・ジョーだ。「うう〜ん」とうなったまま、しばらく動かない。観衆の注視に絶えきれず、思わず苦笑いをこぼした。
懇願するように「1分待って」。
アジアチームのキャプテン、尾崎直道は2つのことで動揺していた。一つ目はモンゴメリーが組合せの発表に「先行」を選んだこと。そして、いきなり最強メンバーを、トップバッターに持ってきたことだ。
百戦錬磨のステンソンとエドフォルスは2人とも大会の常連メンバーで、そしてメンバーきっての飛ばし屋。ましてエドフォルスに至っては、オフは毎年タイに滞在し、今年の会場のブラックマウンテンゴルフクラブで調整を重ねているというから、ここはまさに勝手知ったる庭なのだ。
この2人の強豪に打ち克つには、どのペアがふさわしいのか。
「初日の第1組目はチームを引っ張るという意味でも大事なポジション。必ず勝って帰ってきてもらいたい」。
そんな期待に応えてくれるのは、どのペアか。
ジョーの逡巡は、しばらく続いた。何度も口を開きかけて、またつぐむというのが続いた。
挙げ句ついに声を絞り出した。
「リャン・ウェン・チョン、&ノー“ヨンスル”(=スンヨル)」。
動揺のあまり、昨年のアジアンツアーの賞金王の名前を言い間違えてしまったほどだ。
「迷った……。凄く迷いました。勇太とキョンテにしようか、とも思ったけれど、でも思い直した。なぜリャンさんとスンヨルにしたかって?」。
今度はちゃんと、代表メンバーの名前を間違えずに言ったあと「2人とも、相手のプレーを見るというよりは、自分のプレーを黙々とやれる選手だから。飛ばし屋2人のことも、気にせずにやれると思ったから」。
そして、改めて2組目にプレーイングキャプテン・モンゴメリーと、リス・デービース組に、池田勇太と金庚泰(キムキョンテ)の最強コンビをぶつけた。
さらに、3組目はイタリアの新星、17歳のマテオ・マナセとパブロ・マルティンのペアには、石川遼と薗田峻輔の若手コンビ。「遼と峻輔。普段から仲が良く、気心知れた2人と、17歳のマテオの対決。これは見る方も楽しみな組合せ。僕の楽しみ!」とつい、声も弾むジョー・尾崎。
ついに初日の最終マッチは、ピーター・ハンセンとフレデリク・アンデションに対して地元タイの英雄トンチャイ・ジェイディと、インドのジーブ・ミルカ・シンを据えた。
ミルカ・シンはこの日の朝、直道に告げた。
「この調子だと、日曜日までやれる。アジアのために戦える」。
ミルカ・シンは、昨年11月のカシオワールドオープンも、3日目の決勝ラウンドに棄権するほど深刻な腰痛を抱えており、出場に際して最終決定を、引き延ばしていた。
「心配しましたけれど、ジーブの言葉を聞いてようやく安心出来ました」と、キャプテン・ジョーの笑みも深くなる。
ミルカ・シンの代わりに直前まで控え選手として、大会前日のプロアマ戦に参加してくれた地元タイのプラヤド・マークセンにも感謝した。
「どうなるか分からない状況で、文句も言わず、待ってくれた。心苦しい状況だったけれど、プラヤドには本当にありがとうと言いたい」。
本戦の開幕を待たずして、笑顔でコースを去った“9人目”のメンバーのためにも、必ずや王冠を取り返す!!
<7日の初日・フォアサムの組合せとスタート時間>
ヘンリク・ステンソン&ヨハン・エドフォルス 11:15 W・リャン&盧承烈(ノスンヨル)
コリン・モンゴメリー&リス・デービース 11:27 池田勇太&金庚泰(キムキョンテ)
マテオ・マナセロ&パブロ・マルティン 11:39 石川遼&薗田峻輔
ピーター・ハンソン&フレデリク・アンデション 11:51 トンチャイ・ジェイディ&ジーブ・ミルカ・シン