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2010年のニューフェイス紹介<額賀辰徳>

普段見せるハニかんだような微笑みには似合わない、目も覚めるような豪快な飛ばしが一番のウリ!!
2010年、ツアーの新しい顔に加わる選手は6人。昨年の賞金ランキングで出場権が与えられる上位70人に食い込み、初シード入りを果たしたのは、6月のUBS日本ゴルフツアー選手権 宍戸ヒルズで41歳にして、ツアー初優勝をあげた“最年長”の五十嵐雄二(賞金ランク25位)を筆頭に、金亨成(同32位)とH・T・キム(同66)位の韓国勢が2人。

さらに38歳の梶川剛奨(同48位)と、最年少ではタイ出身の20歳、キラデク・アフィバーンラト(同45位)が“ルーキーイヤー”にして仲間入りを果たし、25歳の額賀辰徳はプロ4年目の初シード入りを決めた。

2008年度のチャレンジトーナメントランク6位の資格で昨年、本格参戦。2度のトップ10入りを果たすなど、年間を通じて安定した成績を残し、晴れて“仲間入り”した額賀はあの石川遼を“阻止”した男でもある。

昨年、額賀がランク1位に輝いたイーグル率賞は、石川も狙っていた。

“戦い”の正念場を迎えたのが、同ランク1位タイで互いに並んで迎えた最終戦の「ゴルフ日本シリーズJTカップ」だった。

同大会の開幕目前に、石川ははっきりと名指しで言った。
「今週、僕が取れれば僕が1位。取れなければ額賀さんが1位になる。明確ですね」。
つまりその週は、たったひとつでもいい。石川がイーグルを奪えたら土壇場の受賞がかなう…。
賞獲りへの意欲を剥き出しにした18歳に対し、額賀は指を加えているしかなかった。

同大会は丸1年の優勝者と、賞金ランクは25位までの選手にしか権利がない。ランク54位の額賀には、出番があるはずもなく「どうすることも出来ず、テレビを見ているしかなかった自分が歯がゆかった」と、あとで当時の心境を振り返っている。

それだけに、受賞が決定した瞬間はまた格別の喜びがあった。

最大の武器を、最大限に生かしたという確かな手応えを得ることもできた。
序盤からやはり1位を守ってきたドライビングディスタンスは平均302.79ヤードを記録して、飛ばし屋日本一の称号も獲得。
イーグル率とのダブル受賞に、「飛距離が多少でも武器になっているという証明になったことが、嬉しかった」とはにかんだ。

「平ら、無風」のコンディションで、自己最高飛距離は360ヤード。
「飛ばしの秘訣は、トレーニング。中でも関節を限界まで広げた状態で負荷をかけたり、捻りを効かせた運動が有効です」と明かした。そんな自慢の飛距離をいっそう引き立てたのは、昨季特に磨きをかけてきた小技だった。

「お前も飛ぶんだから。それを生かすにはショートアイアン」と、額賀にアドバイスをくれた小田孔明は、やはりツアーきっての飛ばし屋だが、実はそれ以上に定評があるのがショートゲームだった。
ツアー3勝の先輩の言葉は非常に説得力があり、額賀もさっそく100ヤード前後の練習を増やすとチャンスにつく回数も格段に増えた。技術の向上は、すぐに自信にもつながった。

象徴的だったのが、10月のマイナビABCチャンピオンシップだった。
大雨の最終日は最終ホールで350ヤードを記録。残り171ヤードの第2打を7番アイアンで4メートルにつけた。このイーグルで、初シード入りを一気にたぐり寄せた。自己最高の5位賞金は600万円を上乗せし、この時点で獲得賞金はすでに1300万円を超えて、当確ランプを灯したのだった。

デビューは2006年。中央学院大時代から、数々のアマタイトルを総なめにした身長183センチの大型新人は、しかし周囲の期待に反して伸び悩んだ。
出場権すらない苦しい時期もあったがそれから4年をかけて、ようやく表舞台に出てきた。
飛ばし屋とイーグル王のダブル受賞を勲章に、2010年は気持ち新たにスタートラインに立てる。

25歳の今季の目標は、もちろん「ツアー初優勝」だ。同時に“武器”にも、ますます磨きをかけていく。「飛距離をもっと伸ばしたい。短所を改善しながら、長所もしっかりと伸ばしていきたいから」。
イーグル率賞で争った石川も、「来年はドライビングディスタンス賞でも1位を獲りたい」とさっそく“打倒・額賀”を宣言しているだけに、このオフもうかうかしてはいられない。

  • 平ら、無風のコンディションで360ヤードを記録したことも…!!
  • プロコーチの植村啓太さん(右)とつかんだ初シードと2冠!! 今季も二人三脚でさらなる飛躍を…!!

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