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つるやオープンゴルフトーナメント 2005
尾崎直道「かなり、さまになっていると思わない?」
再三のピンチを、好調のアプローチとパターでしのいだ。
特に、バンカーショットが素晴らしかった。
それまでの8年間、参戦していた米ツアーから復帰したのは2002年。そのとき、コースの変化に合わせてロフト60度のサンドウェッジから58度のものに変えて戦っていた。
それを今週、再び60度に戻して戦ったのが「昔に返った感じで、すごく良かった」という。
4日間で、8つのホールでバンカーに入れたが、そのセーブ率は100%。
「若いころなら、パー5で2オンしてイーグル、・・・なんてゴルフも出来たけど。今日はスーパーショットとかはなかったけれど、こうして後半にしのいで、最後まで我慢して、ボギーなしで優勝できたこと。それが、嬉しかったんだ」。
48歳なりの渋みあふれるゴルフで、大観衆を魅了した。
17番は、第2打で左のフェアウェーバンカーから、また、グリーン左のガードバンカーに打ち込んだ。
そこから、絶妙のバンカーショットで3メートルにつけてバーディを奪った。
たちまち沸き起こった大歓声。
「ナイスバーディ!」の声に、「・・・う〜ん、まあまあですな。あれくらいで、勘弁してください!」。
おどけたしぐさと裏腹に、2位のシーハンを容赦なく突き放した。
最終18番のセカンドショットも、またバンカーだった。
グリーン手前まで運び、ここでもパーで切り抜けた。危なげなく逃げ切った。
20歳年下の好敵手を1度ならず2度も退けたパワーは、たゆまぬ努力とトレーニングの成果だった。
口では「いつもと、トレーニングの量も内容も同じ。オフもたいして、やってるわけじゃないよ」と言うが昨年、シーズン序盤で腰を痛めた失敗が、再び直道の心に火をつけたのは間違いない。
1年のうち、約半数のトーナメントでバッグを担ぐ野本美代子さんは、開幕から気がついていた。「今年、直道さんは相当、体を鍛えてきた」と感じていた。
「まずいちばんに歩き方が全然、違っていたんです。下半身がどっしりとして、力強くて。本人もそんな自分に気がついていて、ラウンド中に私に何度も、『どう?歩き方。かなり、さまになっていると思わない?』って。この4日間、充実感にあふれていましたね」(野本さん)。
これから、シーズン本番。
日本ツアーで、6人しか持たない永久シード選手のジョー尾崎が力強い足取りで、2005年に確かな足跡をつけていく。