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宮本勝昌が自身2度目のゴルフ伝道の旅へ(6月24日)

今年5年目を迎える「ゴルフ伝道の旅」は、これまで33人のツアープレーヤーが全国各地の小学校でゴルフの楽しさ、夢を持つことの大切さを伝え歩いたところで一度、原点に立ち返った。
6月24日に、岩手県の宮古市立崎山小学校の門をくぐったのは宮本勝昌。2009年に就任したばかりの当時の選手会長が、選手会の新たな取り組みとして、スタートさせたのがこの旅のはじめの第1歩でもあった。

試合で上位につけて、報道陣に囲まれれば絶対におもしろ可笑しい時事ネタを、2,3個仕込んでおかずにはいられない。芸人(?)魂満点の41歳は、可愛い小学生たちの前ではなおさらだった。
早朝に都内を出発して、盛岡駅に降り立ちそこから車で2時間かけて崎山小に到着するなり、おもむろに取り出したのは、まっ金々のアフロヘア。
自宅から持参したかぶり物。準備万端ぬかりなく、給食の配膳がすっかり済んだ教室の扉を開けると・・・・・・。
想像以上の黄色い歓声に迎えられ、掴みはOK!
がっちり子どもたちのハートをとらえて「今日はみんなと、スナッグゴルフをしたり、お話をするためにやってきました。短い時間ですがみんなと一緒に楽しみたいと思います」。そんなトボけた格好で、大まじめな挨拶にはますます笑いが止まらない・・・!!

お昼休みはドッヂボールに誘われて、すっかり溶け込んだところで、午後からスナッグゴルフ講習会の始まりだ。手取り足取り指導を受けて、みるみる上達していく子どもたち。「うまいぞ、ナイスだ!」。声かけもぬかりなく、講習会の最後には、プロとの直接対決で、名乗りを上げたのはチームきっての精鋭だ。
同校は8月に宮城県の仙台ヒルズゴルフ倶楽部で行われる「第12回スナッグゴルフ対抗戦JGTOカップ全国大会」への出場権を勝ち取ったばかり。そのメンバーの1人はプロとの一騎打ちで、もらったハンディわずか1でも、2打でみごと的にくっつけて、プロに勝ち越し学校中の羨望を集めて全国大会に向けて、自ずと期待も膨らむ1勝を飾った・・・!!

興奮冷めやらぬまま、教室に戻ってみんなで耳を傾けたお話のタイトルは「“夢と目標”と“問題と答え”」について。講習会のテーマは、子どもの視点に立ってわかりやすく、心に染みこみやすい内容をと、事前に練りに練ってきた。

まず最初の「夢と目標」とは、その2つの違いを自らの視点で、丁寧に語った。
「夢は将来実現させること(させようとすること)。目標は一定期間に実現させること(させようとすること)。人によっては大きな夢に向かっていくタイプの人もいるだろうし、身近な目標を立ててそれに向かっていく人もいる」。
では、宮本はどちらのタイプか? 「僕は、夢を持つことができない人間なんです」。夢と口に出して言うと、何か壮大で、途方もないイメージがする。「大きな夢」となるとなおさらで、「僕は、それを達成するために何をしたらいいのか分からなくなってしまう。だからいつも僕は、まず目標を持つようにしている」と、宮本は言った。
「たとえば今年、優勝しようとか、来週の試合に優勝するために頑張ろうとか。身近なところに目標を立てると、今何をしなければいけないのかが分かってくるから」。
この「夢と目標」についてはどちらが良くて、悪いということではなくて、ひとつの山に向かって歩いて行こうとするときに、どういう方法ならば、自分は楽しく登っていけるか。見失わずに、頂点に向かっていけるか。それを見極め、方法を選んでいくのは君たち自身だよ、と宮本は言いたかった。そして、目標をいくつもいくつも達成して、たどり着いた先にしか夢の実現はない、とも。

そして2つめのお題は「問題と答え」だ。
「3、4年生にはちょっと難しいタイトルだったかもしれないね」と、宮本はあとでちょっぴり反省したが、子どもたちは食い入るように宮本の目を見つめ、お話に聞き入っていたものだ。

みんなで遊んだお昼休みのドッヂボールは凄く楽しかったけれど、実は宮本は少し羨ましかった。「僕には、みんなと同じ小学校3年生の子どもがいます」。長男の翔太郎くん。「でも、彼はみんなみたいに速くボールが投げられない。どうやったら僕の子どもがみんなみたいに上手に投げられるようになれるか」。それが、目下宮本が抱える「問題」。簡単に解決できる問題ではないかもしれない。「だけど、問題には必ず答えがある」と、宮本は信じている。

ゴルフでもそうだ。思うようにスイングが出来ず、結果も残せず、賞金も稼げずに、苦しんで苦しんで答えを出すまでに時間がかかってしまうこともあるけれど、必ずその答えはあると信じて、じっくりと取り組めば、取り組むほど「時間をかけるほど、それが自分のためになる」。勉強でもそう。難しい問題ほど、答えを見つけられたときに、ああレベルアップ出来たなと感じられることがみんなにもあるでしょう?
「答えが分からなければ先生に聞いたり、お友だちに聞いたり、お父さんやお母さん、おじいちゃんやおばあちゃんに聞いたっていいんだ。必ず答えをくれるから」。宮本にとって、それは師匠の芹澤信雄であったり、兄弟子の藤田寛之であったり。問題を抱え、答えに悩んだときこそ仲間や、支えてくれる人の存在に、気づけることだってある。かけがえのない親友を得ることだってあるのだ。
「みんなもいっぱい問題に出会って、いっぱい答えを出してください。僕も、これから家に帰ってうちの子どもがどうやったら上手にボールを投げられるか。答えを探したいと思います」。人生はその繰り返しでこそ、人は大きく成長していける・・・。
それこそが2度目の旅で、宮本が伝えたかったことだった。

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