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VanaH杯KBCオーガスタゴルフトーナメント 2013

異色の経歴!! 遠藤彰が強風の中で3アンダーをマーク【インタビュー動画】

34歳にして、「今まで、こんな良いスタートが切れたことがない。上出来ですね」。3アンダーの11位タイにつけた中堅プロが、そういって息を弾ませたのも無理はない。

2007年にツアーデビューを果たすもその年は、6試合に挑戦してもすべて予選落ちを喫して「このままでは、戦えない」と、練習方法に試行錯誤を繰り返して、ようやく手応えが出てきたのが今年。

ファイナルQTランク20位の資格で本格参戦を果たした今季は、5月の日本プロで、自己最高の19位につけたことで、やっと自信もついてきたところだ。

試合に出始めたころは、「たとえば深いラフから出すしかないのに、無理に攻めたり」。無謀な1打が、大けがの連鎖を引き起こす。「攻めるところは攻める。守るところは守る」と今ではメリハリの効いたマネジメントを心がけるようになったのは、失敗から学んだから。

この日は折り返しの10番で、ティショットを右に曲げた。かろうじて、OBはまぬかれたが、深いラフからの2打目は「大きなクラブでスライスをかけていけば、グリーンに届くかもしれない」。

また、つい攻めていきたくなる欲望を抑えて、「しっかりと、ボギーを取って行こう」と安全に横に出して、7番アイアンで改めてグリーンに乗せて、狙い通りにケガを最小限にとどめた。

台風15号の影響も、「風のゴルフは嫌いじゃない」。むしろ、これまでの出場全27戦のレギュラーツアーでも、チャレンジトーナメントでも、風が強い日のほうが、良いスコアが出る自身の傾向も追い風にして、好スタートを切った。

ゴルフを始めたのが19歳と、回りに比べて遅かったのは、元はスキーのアルペン選手だったから。
ジュニア時代は、強化選手に選ばれたほど。2つ上には、あの皆川健太郎氏がいて、遠藤も五輪やワールドカップなどの大舞台を目指した。

地元・山形県の長井北中学を卒業と同時に単身カナダ留学。海外で飛躍を誓うも夢やぶれたのは18歳のときだった。練習中の大転倒で、右膝の靱帯に損傷を受けた。1年あまりで復帰を果たすも、ケガのトラウマもあって、大胆な滑りが出来ずに記録は伸び悩んだ。

スキーは諦めるしかなかった。
かわりに当時、リハビリもかねて始めたゴルフに転身。半年で90を切るなど、めきめきと力をつけ始めたころ、師匠の宇野富男氏に「膝の使い方は、スキーで培ったものだ」と言われて、目標のプロ転向にも、ますます弾みがついた。

遠回りをした分、新天地で芽が出るまでに、時間がかかるのは否めない。いまツアーは松山英樹に代表されるように、20代の選手が席巻するが、ジタバタしない。
「たとえ始めたのは遅くても、いまはみんなと同じ舞台に立っているのだから。遅かれ、早かれ、負けたくない」。まだ稼ぎは少ないが、他の“副業”にも逃げたりしない。「ツアーでやっていくと決めているので」。この道1本で行く、と決めた男が飛躍の夏を迎えている。

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