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サン・クロレラ クラシック 2010
小山内護が「北海道スイングを狙う」
それよりも大切なのは、「優勝したあとの大会で必ず予選を通過すること」。
それこそ、初優勝の98年から肝に銘じてきた男の美学だ。
「欲張らず、地道に行くよ」と笑っていたものだが、サスペンデッドを挟んだ第1ラウンドで、3アンダーをマーク。
「一気にその気になっちゃった」と、打ち明ける。
ひそかに抱いた野望は2週連続どころか、夢はでっかく道内での3連勝。
9月は輪厚で行われるANAオープンを含め、今年も北海道で開催される3試合で全勝した選手に1000万円のビッグボーナスが贈られることになっていた。
主催3社の協力のもと、2006年からスタートしたのは題して「北海道スイング」。その受賞に「鼻息を荒くした」。意識した途端にたちまち「こけた」。
2日連続のサスペンデッドは再び2日がかりの第2ラウンドで74を打って、壮大な野望は捨てた。「やっぱり地道に上位を目指そう」。
道内3勝の夢は消えても、まだおいしい特典は残っている。
「北海道スイング」は、3戦全勝の該当者がいなくても、3大会のポイント合計の1位者には賞金100万円と、海外ツアーの出場権が贈られる。
40歳を迎えてなお、米ツアーやアジアンツアーなど、海外への挑戦を視野に入れる小山内にとって、喉から手が出るほど欲しい切符だ。
3日目を終えて、高山とチャンドが首位タイで並んだ瞬間に、さっそくソロバンを弾いた。
「2人のうち、どっちが勝っても北海道スイングではランキングで抜かれる」。
それでも“最終戦”のANAオープンまで可能性を残しておくためにはせめて、出来るだけここで差を縮めておく必要がある。
「頑張ったよ」と、小山内。
最終日は連日、過酷な条件による疲れやスイングの不調が重なって、ショットが曲がりまくった。
「今日の後半なんか、一個もフェアウェーに行ってない」。
幸い絶好調のパットに救われたが、一度はイップスの症状をわずらったこともあるだけに、「グリーン上で、いつ崩れるかも分かんない。不安でたまんなかった」という。
最終18番でも大ピンチ。
右に曲げたティショットは前方を木立に阻まれて、まともに狙えない。
いちかばちかの第2打はクリークで、グリーン左サイドの電光掲示板狙い。
「30ヤードはスライスをかけた」という果敢なショットはなんと、手前4メートルのバーディチャンス。
これをねじ込み、宣戦布告だ。
案の定、「北海道スイング」は高山やチャンドどころか、平塚哲二やブレンダン・ジョーンズにも抜かれてしまったが、いずれも僅差の争いに、「次のANAオープンで、勝負を賭ける」。おいしいチャンスは、逃さない。
<ゴルフ北海道スイングとは…?!>
道内で行われる3トーナメントが互いに手を組み、活性化をはかろうという取り組みで、2006年よりスタート。
今年も「長嶋茂雄 INVITATIONAL セガサミーカップ(7月22-25日 ザ・ノースカントリーGC)」と「サン・クロレラ クラシック(7月29-8月1日 小樽CC)」と「ANAオープン (9月16-19日 札幌GC輪厚C)」の3大会で全勝した選手には、各主催者より賞金1000万円が。
また該当者がなかった場合も3大会の獲得賞金のポイントランキング上位者に賞金100万円と、海外ツアーの出場権が与えられるというものです。
残念ながら小山内が2週連続Vを逃し、今年も1000万円のビッグマネーは夢と消えましたがまだおいしいチャンスは残っています。
さて、今年はどの選手に北の女神が微笑みますか。
<ゴルフ北海道スイング トップ10(サン・クロレラ終了時点)>
1位 平塚哲二
2位 D・チャンド
3位 B・ジョーンズ
4位 高山忠洋
5位 小山内護
6位 金 庚泰
7位 H・T・キム
8位 趙 珉珪
9位 白 佳和
10位 増田伸洋