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初日はアジアがリード!

欧州で7年連続賞金王のモンティことモンゴメリー(左)を18歳が撃破!
キャプテン・ジョーには嬉しい誤算。連覇に向けて、絶好のスタートだ。8日に開幕した欧州とアジアの対抗戦「ザ・ロイヤル・トロフィ」の初日の獲得ポイントは2.5対1.5。アジアが欧州に1ポイントのリードを奪った。「今日は引き分けなら上出来だと思っていたから」と、尾崎直道。「今日の1アップは非常に大きいと思います」と、満面の笑みでハイネケンのプルトップを抜いた。

最初にチームに勝利を持ち帰ったのは、日本勢だった。
第1組で先陣を切った石川遼と小田孔明のペアが、93年から7年連続の賞金王に快勝した。
プレーイングキャプテンのコリン・モンゴメリー組を、3&2で打ち負かした。

始まりこそ、小田は気合いが入りすぎていた。出だしの1番で、セカンドを奧のブッシュへ。「アドレナリンが出過ぎていた」。石川も、「お互いにちょっと緊張があったかもしれない」。

3打目は、アンプレヤブルを宣言するしかなくいきなりの1ダウン。さらに2番で今度は石川が、短いパーパットを外して2アップを許した。

のっけから、アジアびいきの地元ギャラリーをヒヤヒヤさせたが、当人たちに焦りは微塵もなかった。もちろん最初の約束どおり、互いに謝罪の言葉もない。
それよりも、昨年11月に石川が、プレジデンツカップで得た教訓。ミスを謝る代わりにあのとき組んだ、Y・E・ヤンから言われた言葉をそのまま小田に伝えた。

「どんな状況になっても絶対に焦らないで行こう」。

かえって2人の気持ちをひとつにして、敵のわずかな隙も、見逃さなかった。3番で、欧州チームが短いパットを外した。相手のミスで、ひとつ取り返すとたちまち反撃に出た。
4番で、小田が6メートルにつけたバーディを石川がねじ込んだ。

小田がささやく。「遼くんのボールでも、距離感が合ってきたよ」。
1つのボールを交互に打つファサムで競うこの日初日は石川のボールでプレーをすることになっていたのだが、石川のボールは小田が普段使っているものよりも、やや硬い。

小田がすぐに馴染めるかどうかが石川にはひとつ、気がかりだったがそれも小田の言葉で吹っ切れた。昨年のバーディ率1位と2位の最強ペアが、揃って持ち味を取り戻した。

8番パー3は、グリーンに船で渡る浮島ホール。強い風の中、小田のアイアンがうなった。ピンそばに乗せて、石川が決めた。その勢いのまま、続く9番では石川が、残り22ヤードのアプローチをチップイン……!!

バックナインは3アップで迎えた16番で、石川が第2打を左のブッシュに入れたが、もはや何の痛手にもならない。いったんは、小田が打ち直しに向かったが、すぐに戻ってきた。ボールは捜索を始めてから5分位内に見つかった。アンプレヤブルの第4打で、小田が難なくグリーンを捉えた。欧州ペアは、この好機すら生かすことも出来ない。ラフからバンカーを渡り歩いてボギー。ドーミーホールも引き分けるので、精一杯だった。

「日本の2人はドライバーのミスがほとんどなかった。それが私たちとの大きな違いだった」と、歯がみしたモンティ。
特に18歳にはぐうの音も出ない。「彼と回る者は誰もが感じることだろうが、私も本当にびっくりしている。ショットのうまさはもちろん、ゲームに対する姿勢や取り組みなど、すべてがほんとうに素晴らしい」と、45歳のベテランも、あとはもう褒めちぎるしかなかった。

そんな相手キャプテンに、思わず含み笑いを漏らしたキャプテン・ジョー。
この日の黒星は、ウィとリャンの1組だけ。ジーブとブーラーのインド勢はイーブンと粘ってくれたしマークセンとジェイディの地元タイの英雄ペアは昨年の3連勝から負けなしと、相変わらずの強さで期待に応える。

勢いに乗って、翌2日目のベストボールも攻撃の手を緩めない。
「みんなには、明日も思い切り攻めてバーディだけを狙ってもらえればそれでいい」。
初日の勝利に弾みをつけて、力を合わせて連覇をもぎ取る。

<初日(フォアサム)の結果>

               <アジア 2.5:1.5 欧州>

3&2 石川遼小田孔明 vs コリン・モンゴメリーパブロ・マルティン
A/S ジーブ・ミルカ・シンガガンジート・ブーラーvsソレン・ケルドセン & ピーター・ハンソン
        チャーリー・ウィW・リャンvsアレキサンデル・ノーレン & ロべルト・カールソン 4&2
3&1 プラヤド・マークセントンチャイ・ジェイディvsサイモン・ダイソン & ヘンリク・ステンソン

  • スタートの1番でいきなりのトラブルも冷静に乗り切った日本ペア
  • 石川が奪った9番のチップインバーディにはあとから小田(左)も「今から思えばあのホールがでかかった」と石川に感謝した
  • チーム・タイは相変わらずの強さで今年もチームに貢献(左からジェイディとマークセン)
  • インドの新鋭、ガガンジート(左)の若さと勢いに期待するキャプテン・ジョー尾崎(中央はジーブ・ミルカ・シン)

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