最後の９番は、見事なパーセーブだった。1.5㍍のパーパットは器用なベースボールグリップと、左足を半歩下げて構える特徴的なアドレス。師事する篠塚武久コーチの教えは「こうすると、ボールとカップを一直線に見られて、ラインも見やすい。強い転がりのパットが打てる」と、難なくしのいだ。
左に曲げたティショットは、ラフからの２打目も引っかけて、ギャラリーがひしめく左側の斜面に打ち込んだ。「スミマセン！」。帽子を脱いで、恐縮しきり。周囲に頭を下げながら、でもいざリカバリーショットは左足下がりのライから、最後は肝が据わった絶妙な寄せだった。

「前半はショットもパットもかみ合ってほとんどミスもなかったけれど。後半から特にティショットが乱れ始めて耐えるゴルフになりました」。
ほっと安堵の通算６アンダーは、８位タイ。２大会が推し進めるジュニア育成プロジェクトの恩恵を受けて出場した「ＶａｎａＨ杯ＫＢＣオーガスタ」に続く、自身２度目のベストアマチュア賞の獲得ばかりか、優勝争いもにらめる位置での決勝ラウンド進出だ。

前日初日は16番で、ホールインワンを達成した。歌手の氷川きよしさんや、スザンヌさんを排した福岡第一高校の３年生は、友達から励ましのメールを受け取り、中には「今度、おごれというのも少し」。
主催者からご褒美の10万円を受け取って、大きな注目を浴びながらのこの日２日目も「緊張した」と言いつつも、「ちょっとモチベーションが上がりました」と、ニッコリと笑った。

キャディをつとめるお父さんの健二さんとの二人三脚で、プロの舞台も物怖じしない。ここＡＢＣゴルフ倶楽部の高速グリーンも、プロ２戦目を戦った２週前の日本オープンで「経験していたので」。今週もまた、速いとの情報を入手して「大会までに、高い球を練習していた」と、準備も万全。

２００８年に最終18番で、劇的なウォーターショットで、プロ初Ｖを決めた石川遼。当時、12歳だった和田さんも、そのシーンは鮮烈に覚えていて、「ああ、石川選手はここから打ったんだ、と」。今週、初めてその場所に立ち、感慨にふけった。「僕も出来れば優勝したい」と和田さん。
「プロの試合の決勝ラウンドで、10位以内から出る経験もまだないので」。未知の世界に17歳の胸も高鳴る。

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• 和田 章太郎
• 篠塚 武久
• 石川 遼