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これからも、男子ゴルフをどうぞ宜しくお願いします!!(8月9日、サンクフル主催者ゴルフ懇親会)
それだけでも選手会長には報われた気分。もちろん課題は山積みだ。でも就任直後の3年前とは明らかに違う風が吹いている。プロが各主催者をもてなす懇親コンペは会場を千葉県のここカメリアヒルズCCに移した初年度こそ選手会長の完璧主義にコースの皆さんも神経を張り詰めていらしたものだが、3回目ともなれば今や池田の痒いとこにも手が届く。
例えば朝の集合写真で日本ゴルフ写真家協会のカメラマンさんが撮影時に使う脚立。今年は言わずとも用意されていた。「昨年も使用されていたので」と地面にひくベニア板まで運んであったり、細部にわたる阿吽の呼吸もこの3年で築かれた絆である。
「今では池田選手の熱いお気持ちが我々にもすっかり浸透しております」とは原田弘通・支配人。最高のおもてなしも最高のスタッフに支えられてこそ。前日の前夜際は「ホテル椿山荘東京」で振る舞われた村田眞吾・総料理長によるフレンチのフルコースも、この日の表彰式では今泉健二・コース料理長による和風懐石も当初こそ食材選びや、料理を運ぶ時期まで気を揉んでいた池田も今では安心してその道のプロに任せておける。
もっとも、今朝は18Hすべてのティから一斉に出るショットガンスタートに、ティオフの合図もスタッフに任せておけばいいものを左手にクラブ、右手にはトランシーバーを離さず腕時計を睨みつけては「5分後だ」「あと1分だ」とか声を張り上げていた池田。昨年から「違ったゴルフの醍醐味を」と取り入れたポイントターニー方式はプロと主催者と2人1組4サムのチーム戦も、プロがこれでは“相方”も集中出来ないではないか?!
「いえいえ、非常に楽しかったですよ!」とエビス顔は、池田とチームを組んだ黒潮観光開発(株)の山本聖・代表取締役社長。カシオワールドオープンの会場の「Kochi黒潮CC」の経営母体であり、このオフには池田が当地で合宿を張った。顔馴染みではあったがこれを機に親交も深まった。前日の前夜際では隣席の選手とも打ち解けて「プロの方とお話ししやすくなったのがいい。試合中は集中しているからと、遠慮してしまうので」とこれを機に距離が縮まったことが山本社長の収穫の一つだ。
この懇親コンペは2年ぶりの参加という山本社長。「初回より運営もスムーズで雰囲気も格段に良くなっている」。前夜際の会場からコース、またコースから帰りの空港への移動もバスが用意されたり「地方者には大変ありがたい」と2年前より手厚いもてなしにも感心しきりだ。
山本社長にとって、ここ数年の懸念事項はトーナメント期間中の入場チケットの売り上げ数の減。「松山さんもアメリカで、今は目玉プロがいないという印象です」。今年はコース所属の片岡大育が初Vをあげて地元ではお祭りムードも「1人ではなく何人も強い若手が出てくれば」と次のスター誕生を夢見て大会でもJrカップを開催して本戦切符を与えるなど「裾野を広げる努力をしています」。そんな主催者に選手たちも応えていければ。
九州朝日放送の二木(ふたつぎ)清彦・常務取締役東京支社長は、せっかくの懇親ゴルフも前夜は一睡も出来なかった。初参加の今年、前夜の組合せ抽選で二木さんとペアになったのは選手会副会長の優作。さらに同組に当たった敵組は横田真一と倉本昌弘。倉本は前の選手会長で、この懇親コンペの発案者でもある。開催の実現は池田に任せ、昨年からシニアツアーのPGA会長に就任。今回はツアー30勝のレジェンドでありながら、日本プロの主催者としてHDCPは+4で参加。つまり二木さんは、揃いも揃ってトッププロ3人に挟まれることになったわけだ。優作の懇切丁寧な指導は勿論、敵組ながら親切に、ラインまで教えてくれるマッシーにヨコシン。誰もがうらやむ贅沢さも「私はゴルフが下手で」と二木さんには居たたまれない1日。結局33位はブービー賞に「今日は私、悲劇のヒーローでございます」と、表彰式の晴れ舞台では「優作プロが貢献してくれずにこの結果」とわざと悔し紛れの二木さん。
この憂さは同社主催の大会で晴らしてもらう。しばしの休みを経てツアーは九州・夏の陣からリスタート。伝統の一戦は新たに冠スポンサーを迎えて27日に開幕する。「優作プロには我らが“RIZAP KBCオーガスタ”での奮起をお願いしたい」。本戦に先駆けて次週12、13日には勝者に出場権を与える「Jrチャレンジゴルフ選手権」も初開催される。今回は惨敗でもトッププロ3人と回るという希有な機会を励みに本戦中は、実行委員長としてその使命に燃える二木さん。「今回の良い運を持ち帰り、地元福岡を盛り上げる」との熱い思いに優作も応えた。「大会では結果にコミットしたいと思います」と、特別協賛社の話題のテレビCMをもじって笑いを取った。
男子プロと和気藹々の1日を経れば尚更「男子プロが親しみやすくなった」と、二木さんは感じている。「池田プロのおもてなしの心が浸透したからでしょう。一丸で盛り上げようという気概を感じる」と二木さん。前日の前夜際では青木功も「どうすれば盛り上がるか。考えられる若手を増やせ。10年、20年と引き継げるものを皆で作れ」と言ったが、この日の表彰式ではこの懇親コンペの担当理事として乾杯の音頭を取った小平智の言葉が頼もしい。
「今日は10バーディ取ってスポンサーの皆さまにプロの凄さを見せられた」と26歳なりの恩返し。「大好きなゴルフで仕事が出来るのも皆さまのお陰です」と胸一杯の感謝の気持ちは「後半戦でも最高のパフォーマンスを見せたいと思います」と請け合った。選手たちの心がひとつになった。「僕らはどのツアーにも負けません」と池田が締めた。「シニアにも、女子にも負けない。日本の男子ここにあり、というのを見せつけたい」と血気盛んに「これからもどうぞ、僕ら男子ツアーを暖かく見守ってやってください。宜しくお願い致します」。就任3年目の集大成を機に、改めて頭を下げた選手会長だ。