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ブリヂストンオープン 2015
あの石川遼も感謝した新人のホストプロ! 堀川未来夢が首位発進
身長は176センチ。体重76キロの身体はすらりと痩身でも、学生時代のトレーニングで培われた胸板はぶ厚くムキムキだ。
「でも身体のわりに、飛ばないといつもみんなに言われる」と、平均飛距離は260ヤードも、気にしない。
「飛距離は、僕の土俵ではない」と潔く、どちらかというと飛ばし屋有利の袖ケ浦も、「完璧」と自負するアプローチとパターを駆使して、頭脳プレー。
最後の9番のパー5も、エッジまで275ヤードの2打目も、無理すれば近くまで持って来られないことはなかった。でも「ピン位置を確認して、右の2つのバンカーを越えるショットは下手すれば、ボギーも見えてくる」と、スプーンであえてグリーン左の広いエリアを狙って「そこならラフからでも足を使って打てる」と、50ヤードの3打目を残した。ピンそばのバーディも、緻密な計算どおりだ。
「今日は1日通して、ほとんど下りのパットはしていない」と、低いフェードボールで徹底してフェアウェイをとらえ、ミスしても楽にパーを拾えるルートを着実に辿って、単独首位に立った。
あだ名は名前のまま「みくむ」。キラキラネームが世に一気に広まったのは9月。日大の大先輩の片山晋呉がホストをつとめるツアー外競技の「ネスレ日本ゴルフマッチプレー選手権」の初戦で堀川が撃破したのは年齢はひとつ上でも、「小学生のころから知ってるし、存在がアイドルっぽいから」という理由で、いつもそう呼ぶ「遼くん」。あの敗戦を機に、とことん攻めのゴルフに転じた石川はその直後にツアー通算12勝目をあげたANAオープンで、「伸び伸びとしたプレーに比べて、自分は守りに入っていると気づかされた。未来夢には感謝している」。優勝会見でわざわざ名指しで礼を言われて「いやあ・・・雲の上の人に、そんなことを言ってもらえるなんて。嬉しい」といまさらながら、大テレした堀川。
「僕はあの試合で予選落ちをして、テレビで遼くんを応援していたんですけど、優勝して欲しかった。遼くんが勝って嬉しい」と、いまごろトボけた祝福も、どこか天然。
そしていつもハキハキ明るいキャラは、先輩にも好かれる。「よく一緒に練習ラウンドをさせていただく片山さん。特に、マネジメントを教えていただくようになって、ゴルフが簡単になった」とこの日もさしたるピンチもなく、ボギーなしのゴルフはシンゴ仕込みの64だ。
「まだ1年目。並み居る選手の中でも僕のレベルは一番下。そんな人間が、一番練習しなくてどうするのか」と、堀川も最後まで居座る練習場で、いつも見かけるのは藤田寛之。
「あの年になってもまだ最後まで練習されるのか、と。それが強さ」と、その秘訣を知ったからには「あれほど強い選手が練習しているのに、自分がやらなくてはますます差が開く」と、ベテランの賞金王にも少しでも追いつきたい一心だ。
そんな一年坊主の姿を先輩プロも、ちゃんと見ていて「君には、明るい未来が待っている」とは藤田の弟弟子の宮本勝昌。これまた日大の大先輩に太鼓判を押されて、頑張れないわけがない。
今季ツアーは堀川の同級生5人が、同時に本格参戦を果たして、序盤はいつも互いに追いつけ追い越せ。「リーダーボードも、真っ先に同級生の名前を探して刺激を受けていたけど」。それも1人減り、2人が減り、先々週はついに出場優先順位を入れ替える「フォールシャッフル」ではみんな脱落してしまって、今週は堀川だけが出場している。
目下、賞金ランキングは1000万円越えの60位。「このまま初シードに滑り込めたら。一番大事なこの試合で結果が出せたら最高ですね」。思い入れのホスト試合で、ビッグチャンスの到来だ。