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日本プロゴルフ選手権大会 2018
50歳が狙う、3度目のタイトル
この2日間は、オフ合宿を共にする“一派”の大堀と一緒に回った。
「谷口さんには、あと5年頑張って欲しい」と、ラウンド中に言われてぴしゃりと「5年て。何を根拠に言っているのか。お前こそ、あと5年もいられる自信があるのか?」。
若手の言葉に、入れ替わりの激しい世界で、今なお第一線に立ち続けるプライドがひらめいた。
今大会は2010年に続いて、2012年を制した際に手にした5年シードも昨年まで。「長期シードをなくして初めてペーペーの気持ちが分かった」と大ベテランが今季はいちからのスタートを覚悟していたから、2日目を終えて、再びタイトルを狙える好位置に、メラメラしているかと思えば「今から5年シードなんかもらっちゃったら、逆にしんどい。もし獲れたら2,3年、誰かにあげよか?」と、うそぶいた。
今年、今大会ではテレビ解説でもお馴染みのシニアプロが、コースセッティングアドバイザーに就任した。
「牧野(裕)さんのセッティングは厳しかった」と、シビアなピン位置と、強い風に谷口も例外なく、苦しい息を吐きながらも457ヤードと、距離が長く最も難しい17番ではフェアウェイから170ヤードの2打目を8番アイアンで、7メートルに乗せて「今日一番いいバーディが獲れた」と、胸を張った。
マキロイに憧れて、一念発起の筋トレで臨んだ一昨年。しかし賞金ランクは80位に終わって悔し涙をのんだ苦い記憶。
「トレーニングには向き不向きがあると思うが、無理をした。自分の場合は体が硬くなってしまって従来のスイングが出来なくなった」。
反省から今は、従来どおりにもっぱら体幹トレーニングやウォーキング、スクワットやストレッチなど柔軟性を重視したメニューを粛々とこなす程度だが、専属トレーナーの湯浅文乃さんが言うには「谷口さんの筋肉は、もちもちしていてマシュマロみたい。20代の選手にも、あの柔らかさはなかなかない」。
シニア入りの年齢を過ぎても、故障知らずの最大の秘訣である。
先の中日クラウンズでは、たまたま最終日に同組で回る機会を得て、アメリカに発つ直前の小平智を見送った。
デビュー当時から、目にかけてきた可愛い後輩のプレーを間近にして「あの頃より上手くなってた。成長してた。自分には、もうあんな伸びしろもなく、落ちる一方やけど」。
後輩への歯に衣着せない物言いの中に、たまにこぼれる自身への偽らざる弱音が共感を呼ぶ。
なんだかんだ言っても「成績がすべて」と、最後は自分に厳しく「もし今週、勝てたら倉本さんに、シニアツアーの招待状付きの優勝トロフィがもらえるかな?」。
青木、中嶋のONに並ぶ、3度目のプロ日本一なら仮に、この先シニアツアーに出ることがあっても、胸を張っていられるはずだ。