記事
アジアパシフィックオープンゴルフチャンピオンシップ ダイヤモンドカップゴルフ 2018
熱中症から復帰の石川。地元開催で奔走
「ドライバーの切れ、アイアンの切れ。陸也はもともと凄いものを持ってるので。僕が今さら教えることはない」と、大絶賛した石川に、「恐縮です・・・」。
照れ笑いで頭を垂れた星野にまた、おどけて目を見張る。
「あれ、恐縮なんて言葉・・・。優勝してまたひとつ覚えたね??」。
関西テレビの大会直前インタビューで、そんな戯れを言いながらも、徐々に気持ちは引き締まる。
「勝てる勝てると言われながら、勝てない選手が大勢いる中でも陸也はただ勝つだけじゃなくて、5打差をつけて勝った。僕も、圧倒的な強さを見せつけて勝つゴルフを目指しているので。刺激しかない」。
留守の間の後輩の偉業に、感心してばかりでいられない。
石川にとっても、地元埼玉での今大会。
普段以上に、結果を期待されるこの地でしかし、「多少の焦りがある」。
熱中症にかかったのは先月8月の「RIZAP KBCオーガスタ」。
どうにか4日間を回りきったが、翌週の余力は残っていなかった。
「だるくて、フラフラして」と、次のフジサンケイクラシックはやむなく欠場。安静をとり、休養につとめて症状に回復が見られたと思ったのがその週半ば。
「良くなってきたと思って食べ始めたら、また気持ちが悪くなってしまった」と、改めて医者にかかると、今度は「ウィルス性の腸炎」との診断がおりてしまった。
「胃腸とか、肝臓にダメージを受けていたみたいで。それからまた6日間ほど。経口補水液やおかゆを食べながら、耐えるしかなかった」と、ピーク時は体重も5キロ減。
入院まで至らなかったのは、不幸中の幸いだったが「ここまで内臓系にダメージを受けたのも、初めて。体全体が弱っちゃった感じがあった。人生で一番体調を崩した」と、なんとも切ない選手会長の夏となってしまった。
療養中も、北海道で起きた大地震など、とても寝て入られないような出来事が立て続けに起きて、なおさら動けない自分が歯がゆかった。
「今年は本当に大きな災害が多くて、よりスポーツの持っている力を発揮しなくちゃいけない時。JGTOと選手会が、一丸となって、力を合わせてチャリティなどをしていけるように。ゴルフ界をあげてサポートしていけるような体制を見直していかないと」と今週は病み上がりの初戦から、さっそく会場でのチャリティ販売用に、選手たちから愛用の品を集めて回ったり、なかなかゴルフ一本に集中できない中でも懸命に、病いからの完全回復につとめている最中だ。
「距離は戻ってきた。あとは体の切れなど、どこまで感覚を戻せるか。自分のゴルフの中で、勝負をしていきたい」。
大会前日のこの日は、ひとり日が暮れるまで、パッティンググリーンに居座った。
今できる最高のプレ−で、地元開催を盛り立てようと選手会長は懸命だ。