2月18日は、日本の北と南で2人のプロが同時に“ゴルフ伝道の旅”。北海道ではベテランの矢野東が子どもたちにゴルフの楽しさを伝授すれば、熊本県には“日本一曲がらない男”が参上だ。
地元・鹿児島から新幹線で1時間もかからない。稲森佑貴がかけつけた西原村立山西小学校は、阿蘇山のすそのにある。お母さんたちからも大人気だったという矢野にも負けじと今朝は、出がけの大英断(?)が、みごとにハマって23歳も、いい気分。
試合では、必ずコンタクトレンズを装着するが「今日はどうしようか、と」。思案の末に、スワンズで特注してもらったスポーツグラスで出かけて大正解だった。
子どもたちから「メガネ姿がカッコいい!」と最初のつかみもばっちりと、すぐに打ち解け大騒ぎだ。
ガチンコ対決で、まず対戦したのは双子の兄弟。蓑田知親くんと、弥暁くんにも揃って敗れてプロもかたなし・・・。
この日は日曜日のスナッグゴルフの寄贈式も、そのあとの講習会も、今回は保護者のみなさんの主導で行われるとあれば、やっぱり親御さんにも対戦に参加してもらわなくちゃというわけで、子どもたちに手を引っ張られて渋々登場したのは江藤颯真くんのお母さん。(ご参加、ご協力まことにありがとうございます!!)。
完全アウェイの嵐もせめて“颯真くんママ”を相手に雪辱をはらしてなんとかプロの面目躍如だ。
「みんな本当に元気で。びっくりしました」と、稲森も驚くほどみんな明るくて、うっかり忘れてしまいそうになるがあれからまだ、やっと2年弱。
昨夏に校舎の修復も済んで一見、落ち着きを取り戻したようにも見えるがまだ仮設住宅から通ってくる子たちもいて、復興は道半ば。前回の避難訓練ではやっと全校生徒で揃って冷静に、対処できるようになったとはいえ当時を思い出して、今もひそかに涙ぐんでしまう子もいるという。
まだ恐怖や悲しみを、心の奥にしまったままだからこそ、稲森も思う友だちのありがたみ。「こうしてみんなで集まって、わいわい騒げる仲間がいることは、とても大事なこと。スナッグゴルフを通じて友だちの絆を広げてもらえれば」との願いをこめて臨んだレッスン会だが、本人こそスナッグゴルフは初体験だった。
親御さんの目の前で派手に“ちゃっくり”したり「こんなにも、難しいものなの?!」と悲鳴をあげながら約2時間のひとときを、子どもたちに負けないくらいに満喫した稲森だ。
昨年は、3年連続でフェアウェイキープ率で1位に。またシーズン最終戦「ゴルフ日本シリーズ」にも3年連続で出場を果たした。16歳でのプロ転向から7年で、生涯獲得賞金も1億4000万円を越えたが、初Vはまだ。
「今年は絶対優勝」と先々週は、気合いを入れて単身宮崎入りも偶然、日程が重なった谷口徹の恒例キャンプにきゅうきょ混ぜてもらって「色々と教えていただき、本当に中身の濃い4日間。食事もラウンドも、谷口さんにはいろんな意味で、大変ご馳走になりました!!」と、感謝しきりのオフシーズン真っ只中だ。
このあと兵庫・神戸のメーカー本社でクラブ調整を済ませたら、豪・亜共催の「ISPSハンダニュージーランドオープン」に初挑戦する。「もう来週なのに、まだチケットが届いていない」と出発直前に気を揉み“趣味”のトレーニングの時間も取れないくらい多忙の合間をぬって、子どもたちに会いに来て本当に良かった。
「勝った、勝った」と喜ぶ子たちと交わしたハイタッチ。あまりの力強さに「イテテテ・・・」。ジン・・・とシビれた手の感触を忘れずにシーズン開幕の時を待つ。
「みんなに気合いを入れてもらって頑張ります!!」。
日本一曲げない男は今年も目標に向かって真っ直ぐに突き進む。