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川村と小平。かつてのルームメイトが揃って初の決勝進出(全英オープン2日目)

幼いころから夢にまで見た初舞台をまずは、初の予選通過で飾ってみせた。2日目を6オーバーから出た川村昌弘が、67をマーク。通算2オーバーで決勝ラウンドに進んで、「今日はパットに尽きる」。
朝から雨に降られたカーヌスティ。重くなったグリーン上で「今日はいい気づきがあった」。
前日の初日から左に行きがちだった。
「ボールを1個分、中に入れて構えるようにした。それで見違えるくらいにラインに乗った」と、前半3つのバーディで折り返した。

ボギーはギャラリーの傘の中にボールが飛び込み2打目をドロップして打った12番のひとつだけ。
14番のパー5は残り160ヤードの2打目を9番アイアンで、2メートルにつけるイーグルチャンスもモノにした。17番では目玉のバンカーショットから、5メートルに脱出してパーを拾った。
「今日は、ドライバーばっかり使った」。
狭いフェアウェイでも攻めの姿勢を貫いたのは、どうにか第二シードには滑り込んでも「人生最大のスランプ」と、フル参戦の資格は手放した昨季の苦い経験から。
「飛ぶ方じゃないしと、今までは置きに行くことが多かったが今年は絶対に置きに行くのはしない、と。今日も、そういうのが緊張した場面で生きてくれたのが嬉しい」と常に思い切りのよいフルスイングで、決勝進出につなげた。

2013年の初優勝で得たアジアンツアーの出場権を糧に、ゴルフトラベラーと称して世界各国で、研鑽を積んできた。
様々なコースでの経験から「自分はパターで転がして寄せるのは、多分上手いです」とこの日は、50ヤード先のフェアウェイから2メートルにつけるしたたかな技も見せた。
決勝進出をかけたこの日は練習日から入れていた3、4番アイアンをきゅうきょ、日本でも愛用の4番ユーティリティに替えようと決断。宿に置いたままのクラブを本人に変わって取り帰り、スタートに間に合わせてくれたスタッフの貢献も大きかった。

ジュニア時代の国際試合でいつも同部屋だった小平智が、常にマスターズへの目標を口にしていたのに対して川村は、「僕は全英なら優勝出来ると思う」。幼少期から掲げてきた夢の舞台でまずは週末に駒を進めて「とりあえずの達成感。あと2日、決勝ならではのピン位置も楽しみたい」。

かつての“ルームメイト”が、この全英オープンでいうなら互いに初の決勝進出を実現させたのもまた不思議な縁だ。
2年ぶり3度目の今大会で、初出場の川村と初めて予選通過を果たした小平。
「16番のボギーでスイッチが入った」という。
すぐに大溝雅教キャディと上がり2ホールのプランを立て直したとおりに、難しい17、18番の連続バーディには「成長したなと思う」。

この2日間、同組で回ったミケルソンも「ショートゲームが上手い」と、小平のゴルフを褒めていたという。
「本当ですか?!」と、普段クールな28歳の目がたちまち輝く。
「手で投げたようにボールを寄せる凄い人。そんな選手に言われるのは嬉しいですね」。

しばしの喜びも、リンクスコース初めて過ごす週末を見据えてすぐに気持ちを引き締めた。
「今日はもう終わったこと。ひとつ目標はクリアできたので。あとは上に行くだけ。明日に備えて準備したい。どんどんバーディを獲って行きたい」。
今年、米ツアー初制覇を果たしたばかりの底力をイギリスでも存分に見せつけたい。

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