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今年はぜひ名前を覚えて・・・!! 堀川未来夢(ほりかわみくむ)がトークショー(ジャパンゴルフフェア)
昨年は新人ながら、賞金ランク41位に食い込みあっさりと初シード入りをしてみせた。お父さんが「未来に夢が持てるように」とつけてくれたキラキラネームもしかし、まだまだ知名度は浅く、本人も心配していた。
前日は、同じ契約先の先輩プロ、片岡大育(かたおかだいすけ)とブリヂストンのブースでトークショーは初体験済みでも、「昨日は大育さんにおんぶに抱っこで。でも今日は僕一人。お客さんも集まってくださるかな?」と、本人も気にかけていたとおりに、11時の開始直後こそ何事かとJGTOブースをのぞいていたお客さんも、しばらくしてそっと離れる方もちらほらいて、そんな様子を見かねた大、大先輩が突如、割って入った。
「みなさん、堀川未来夢です! 非常に将来有望な若手選手の一人です。どうか話を聞いてやってください!」。威勢の良い声に、堀川もびくっと顔をあげて、そして恐縮! マッシーだ。倉本だ。同じ日大出身の永久シード選手だ!
思わず立ち上がって直立不動だ。
このひと幕で、あっという間に人が集まってきた。先輩の巧みな話術にも引っ張られてかねてより秘めてきた「究極の目標」を、思わずゴルフファンの前で打ち明けていた。
「マスターズに出場することが目標です。またそこで勝つことが出来れば、最高すぎる夢です!」。倉本昌弘のおかげでやにわに盛り上がったトークショーは、そのあとさらにビッグネームが登場して、最高潮に達した。
13年の全米プロシニアチャンピオン。日本勢初のメジャー覇者。井戸木鴻樹も堀川のムキムキの胸筋をモミモミしながら、不思議そうにつぶやく。
「これだけ見たら300ヤードは飛びそうな・・・。君、こんな胸していて、なんで飛べへんねん?」。「よく言われます!」と、これまた満面の笑みで「でも、誰よりもまっすぐ飛ばせる。井戸木さんと同じですっ!」。
「え?僕と同じって? 僕はフェアウェイには行くけど、220ヤードやで!」。
そこは・・・さすがに井戸木よりももうちょっと飛んで、昨季の公式記録の平均267,73ヤードはドライビングディスタンス88位。
今も下宿中の日大の寮で、学生時代にちょっぴり鍛え方を誤った。「ベンチプレスとか、余計な筋肉をつけすぎて、スイングには少し邪魔になっているかもしれない」。先々週は、JGTO主催の宮崎合宿で、「地味なトレーニングでも、コアな体幹を鍛えられている感があった。今年はやり方を変えてみる」と、飛距離アップを目指しつつもムキムキの胸を張り、「アプローチ、パットが僕の持ち味」。そこもナニワのイドキとかぶる部分があって、トークショーは、大いに盛り上がったのであった
ハキハキした話し方。絶やさぬ明るい笑顔。そんな後輩に目をつけた、やはり日大の大先輩が昨季の堀川の運命を大きく変えた。夏に5試合連続の予選落ちを喫したその直後に出会った。「シンゴさんが、180度僕を変えてくれた」。技術だけでなく、片山晋呉のプロとしての取り組み方や、こだわりなど徹底的にたたき込まれて、「シンゴさんに言われたとおりに一度全部、変えてみよう、と」。素直でまっすぐな心が劇的な変化をもたらした。ホスト試合のブリヂストンオープンで、その片山と優勝争いの末に自己ベストの2位タイ。初シードを決める大きな足がかりとなった。
トークショーの前に、堀川の知名度を心配したメーカーのスタッフが「服にマジックで、未来夢って書いとくか」と冗談交じりに言ったが結局、杞憂に終わった。そのあとのプレゼントクイズで「堀川選手の誕生日が言える人!」。さっと手が上がって、12月16日は平成4年と、生まれ年まで正確に、さらにはトラックマンブースでのレッスン会で「ぜひに」と参加してくださった北山茂男さんは、なんとこの日は栃木県の日光から堀川をお目当てに、駆けつけてくださったらしい。
最後のサイン会では、九州から会いに来ましたと、言って嬉しそうに握手を求められて、23歳は本当に感謝しきりだ。そんな様子を影からそっと見守っていた。2つ年下の稲森佑貴の姿を見つけて、レッスン会に引っ張り出した。人前ではめったに見せないプロ同士のゴルフ談義でファンのみなさんを喜ばせて「今年も一緒に頑張ろう!!」。
若さ一杯のトークショーとなった。