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日本ゴルフツアー選手権 Citibank Cup Shishido Hills 2011
昨年覇者の宮本勝昌は「ハンパない!」と子供たちが絶賛
いままさに、ティオフしていく選手と手をつないで1番ティに入場する「キッズエスコート」は今年、地元茨城の地区予選を勝ち抜いて、スナッグゴルフ全国大会への切符を勝ち取った7校の子供たち、49人がつとめてくれた。
大役を終えて、チーム揃って興奮しきりで“舞台袖”に帰ってきたのは笠間市立宍戸小学校のみんな。
口々に言った。
「宮本プロはハンパない!!」。
最終日の19組目は“選手会長”のほか、矢野東と上田諭尉をエスコートしてくれた子供たちだ。これぞプロという迫力の飛距離と弾道。宮本勝昌の、連覇を狙うという気迫。それらにすっかり圧倒されていた。
「どうしてあんなに飛ぶんだろう」。
「でもさっきは左に曲がっていたね」。
「プロでも曲がるんだよね」。
「・・・でも曲がっても、あのショットはすごいよ!!」。
まして、宮本と一緒にティに上がったやなぎ(木へんにタ)橋夏空音(がくと)くんと近藤龍介くんは、おまけの特製マーカーをもらった。「いいなあ、僕も宮本プロと手をつなぎたかった!」と思わず誰かが言った言葉にすかさず反応したのは、同組の上田と手をつないだ谷津智美さんと富田芽衣さんだ。
「私たちは、上田プロと手をつなげて良かったです!」。
大勢の視線が集中するティグラウンドに、プロと一緒に降り立つ。そんな子供たちの緊張の瞬間を、ひょうきんなポーズやオヤジギャグで和ませてくれた上田に2人ともすっかり虜に。
矢野と手をつないだ海老澤友吾くんと、刈屋郁海くん、そして残念ながら今回はプロ3人の手からあぶれて、ただみんなに付き添って一人で並んで歩くだけだった磯野聖崇くんも、「確かに!」と頷いた。
石川遼の予選落ちも、子供たちには非常に残念な事件だったが、そんなことも吹っ飛ぶくらい「宮本選手のショットはすごかったし、上田プロはすごく面白い人だったよ!」と、大満足の1日だった。
「これからも、もっとゴルフを頑張りたくなっちゃった!」と、声を揃えた。
「これからみんなで宮本選手を応援しに行こうよ。今年も勝てますように!!」と、宍戸の森に駆けだして行った。
この晴れの日でこそこうして明るい笑い声をたてた子供たちだが、小さな胸の奥に、みな不安を抱えながら日々を過ごしている。この日の花形、最終組を担当してくれた城里町立沢山小学校では地震で崩れた体育館が、今も使えない。しかも今だに余震がたびたび襲い、「学校の校舎は震度以上に揺れを強く感じて。そのたびに子供たちは怖がっています」と、大森孝コーチは言う。
それだけに、この日は「最高の1日になりました」と、大森先生。「こんな大勢の人の前で、プロと手をつないで歩くなんて一生に一度だけ。子供たちには何よりの励みになったはずです」。
今年、初のスナッグゴルフ全国大会の出場を決めた同チームにとっても、トッププレーヤーとつないだ手のぬくもりが、プロが放つ迫力の弾道が、せめて子供たちの勇気や元気につながるのなら、選手たちにとってもこんな嬉しいことはない。