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宮本勝昌がトークショーを開催(1月20日)
そこは、本人たちもわきまえていて、「俺たちは“以下同文”」とは、師匠。偉大な兄弟子も「僕らバーターで参加しています」と、最初のオープニングで謙虚に付け加えることを忘れなかったが、“もれなくついてくる”というにはもったいないほどの、この豪華な顔ぶれには、もはや「チーム芹澤トークショー」と、名称変更しても差し支えなく、そんなふうに新春からチームの顔が4人も揃いながら、おめでたい話題がひとつもないことが、とりわけ師匠には、心苦しかったようだ。
トークショーの序盤に「今年のチームの目標について、師匠から語ってください」と、司会の方に振られた際には、「その話は最後にしましょう」と言ったのは、いかにも芹澤信雄らしい配慮であった。
今年も冒頭のサイン会から、会場となった「ハートンホテル北梅田」の“ぐんじょうの間”は、ファンのみなさんの熱気で満ちており、続いて“ホスト”の宮本が口火を切って始まったチームならではのぶっちゃけトークも、藤田寛之が佐藤製薬“アセス”のCM撮影秘話を披露したり、末っ子弟子の上井邦浩が意外な(?!)オーガニック志向をおもしろおかしく打ち明けるなど、せっかくの和やかムードも、そうでなければちょっと違った流れになっていたかもしれない。
そういう意味でも、その話題を終盤に持っていったことは、正解だった。最後は“公開説教”みたいになったが、それはそれで、非常にレアなトークショーになった。昨季の弟子たちの不振。師匠には、何もかもお見通しだった。昨年、ここ5年間では自己ワーストの賞金ランク31位に終わった藤田。「去年は序盤のケガで調整が遅れたことと、生命線のパットが入らなかったこと」。しかし、2012年には賞金王に輝いた。自慢の一番弟子については、師匠はさほど心配していない。
それより、「僕にもショックだったのは、上井」。昨年は、どうにか守った第二シードすらも、今年は取りこぼして、出場権すら失う賞金ランクは98位。「上井くんは、僕が思っていた以上に繊細でした」と、自分のことのように胸を痛めていた師匠。「藤田や宮本に、任せきりだったのも、いけなかった」と、反省しきりで今年は責任を持って、師匠自ら上井の復活計画に、乗り出すつもり。
昨年、やはり弟子で女子プロの西山ゆかりさんのバッグを担いで初優勝に導いた優勝請負人は、そのあと殺到したキャディのオファーをすべて、断ってきた芹澤だが今年は再び可愛い弟子のために、人肌脱ぐ可能性も示唆した。「今年は、上井のバッグを担ぐかもしれない。上井は今年、主催者推薦をいただきながら、少ないチャンスを生かすしかないが、僕が必ず復活させてみせる」と請け負ったのは、師匠としても、スポンサーのみなさんの希望と期待を感じればこそ。
それと、やっぱり宮本だ。一昨年は、お祝いムードに湧いたこのトークショー。兄弟子の藤田に次ぐ年間2勝を挙げて、「宮本はそれでほっとしてしまった」。まして2勝目が、宮本が愛してやまないシーズン最終戦「ゴルフ日本シリーズJTカップ」での大会3勝目なら、弟子が舞い上がるのも無理はなく、「目立つことが好きで、ちやほやされることが大好きな宮本は、それで浮かれてしまった」と、それこそが昨季、宮本が未勝利に終わった要因だと、師匠はどこまでも厳しかった。
「宮本くんは、勝った翌年はいつも良くない。いつも言ってるけれど、お前は賞金王も獲れる器なのに」と、芹澤にはそれが歯がゆくてならない。新年の目標として「日本シリーズに出場する」と毎年、オウムのように繰り返す弟子にも業を煮やした。「おまえの実力をもってすれば、毎年1勝するなんて、当たり前のことなんだから」と説き伏せられて、「今年は2勝して、シリーズに出て、シリーズで年間3勝目を挙げます」と、精一杯に応えてみせた宮本には、師匠の愛のムチが響いているのか、いないんだか。
かたわらの兄弟子にも、「いま、師匠が仰ったこと、ちゃんと聞いてた?」と藤田にも突っ込まれる始末だが、気合いを入れ直してまずは翌週!
「おまえたち、なんか悠長なこと言ってるけど、今年はもう来週から試合だろう?!」と芹澤がまた心配そうな声を上げたが、そこは安心してください、はいてますから。
宮本が、ちまたでそんな験担ぎがあるとも知らずにこの日、選んだネクタイと下着は赤。奇しくも、申年に身につけると運気があがると言われる色を、この大事な新春行事に着用してきた偶然に勢いづいて、「師匠が仰ってくださったことを肝に銘じて、頑張ります!」。
藤田と揃って始動する次週の「SMBCシンガポールオープン」と、「レオパレス21ミャンマーオープン」での健闘を誓った。そして、ミャンマーから帰ったら、こちらも藤田と揃ってすぐにも師匠主催のハワイ合宿に合流して、次の今季開幕戦に備えるつもりだ。