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ゴルフ日本シリーズJTカップ 2004

加瀬秀樹、ブレンダン・ジョーンズが首位で並んだ

グリーン奥から、急激な下り傾斜の18番パー3。227ヤードとたっぷり距離もある、東京よみうりの最難関ホールで、加瀬が思わずへたりこんだ。
グリーン手前からのアプローチは、カップのまわりをクルリと半回転して、OK距離で止まった。
それまで首位を走っていた豪州のブレンダン・ジョーンズが右バンカーに入れてダブルボギーを打っていただけに、ひとつ逆転する絶好のチャンスを逃して、45歳が感情豊かに悔しがった。

以前は、それほど大きなアクションをする選手ではなかった。
「淡々とプレーして、それで結果がついてくればラッキー」などと、言動も控えめだった。

そんな自分を変えよう、と決意したのは昨シーズン。練習仲間の丸山大輔、宮瀬博文、室田淳が、賞金ランクで8、9、10位と3人並んだ。それに引き換え、自分は35位と大きく遅れを取った。
加えて、今年9歳になる長男・哲弘君が「試合で勝つ」ということがどういうことを意味するか、理解できる年齢に差し掛かった事も大きい。

「ただシードにしがみついている、不甲斐ない自分を変えたい。強い父親の姿を見せたい」その思いに突き動かされて、自然とプレー中の表情が豊かになり、インタビューでのコメントも、力強いものへと変わっていったのだ。

29試合フル参戦で、疲労は相当にたまっている。しかしホールアウト後の練習と軽い有酸素運動と、ストレッチは毎日、欠かさない。
今大会、最年長プレーヤーは、「疲れは気合でカバーする」と言い切る。
残り2日間は、ジョーンズ以外にも、下からイキの良い若手が突き上げてくるだろう。それも重々承知の上で、「とにかく、我慢強く行きます」。
昨年まで、インタビューでもけして口に出すことのなかった「絶対に俺が勝つ」という思いが、全身からにじみ出ていた。

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