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ゴルフ日本シリーズJTカップ 2018
周吾よ、ここからターボをかけていけ!!
最難関の18番パー3は3Uで、グリーンには乗せたが下り急傾斜の長いバーディトライ。
「けっこうしっかり打ったが、弱かった」。
それでも2.5メートルの厳しいパーパットは外さなかった。
「今日はいくつかチャンスを外したが、昨日よりもったいないミスは少なかった」。
初日にやや乱れたショットもこの日はコンパクトに徹して安定感も戻った。
逆転キングには、この大会での優勝が条件のノリスは28位タイと低迷したまま。
戴冠へのカウントダウンがいよいよ始まったが、あくまで目標は「この大会の優勝。勝たないと、厳しいので」。
来季マスターズの出場権にむけて、年末の世界ランク50位に滑り込むためにも、このシーズン最終戦での2勝目は譲れない。
どんなに極寒の日も、半袖で通す選手がこの日は普段あまり見ない“柄パン”に、赤セーター姿も、中に着たアンダーウェアはもともと長袖。スタート前に、自らハサミを入れて完成させたオリジナルのランニングシャツに「動きも問題なく、振れてます」。
朝の練習場では、懐かしい顔を見つけて気合が入った。
笑顔で駆け寄った菅野信之さんは、今平がいちばん最初にゴルフの基礎を習った恩師だ。
両親について通った地元埼玉県・日高市の練習場「ゴルフパートナー日高ゴルフワン」で出会ったのは小1のとき。
「ゴルフは好きかい?」。
聞かれて無邪気に「大好き!」と答えた。
週3で通うことが決まったゴルフスクールは、1回1時間半の講習のうち、最初の40分が“座学”に充てられた。
まず教材や、ビデオでその日習う内容を机上で“予習”してから実践に入る。
「今の僕のゴルフを作ってもらった」。
幼少期の徹底した基礎練習が、賞金1位のゴルフを支えている。
「周吾くんはあの頃から手先ではなく、体をくるっと回して打つボディーターンができていた。将来があると感じた」という先生の見立ては当たった。
「うちのスクールからすごい子が育ってくれた。私の宝です」と、教え子の雄姿に目を細めた。
最終日にはまた、明日の周吾を目指す“現役生”を連れて駆け付けるという菅野先生。
「周吾、ここからターボをかけていけ!」。
恩師の激励に、いつもの静かな笑顔で請け合った。