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日本ゴルフツアー選手権 Citibank Cup Shishido Hills 2011

井上信(いのうえまこと)は「なんだかよく分からないけど」

ホールアウトするなり、呑み仲間の矢野東が目ざとく見付けて一声かけた。「まこっちゃん、上手いね〜!」。
アンダーパーがたった3人という初日にイーブンパーの4位タイは、確かに好発進。
だが本人は首をかしげて「なんだかよく分かんないけど」と苦笑いで答えるばかりだ。

このツアープレーヤーNO.1決定戦が、開幕するまでは「きっと初日から80を打つ」と本人もいっさい期待をしていなかった。
今季は開幕から、左手親指の付け根に痛みを抱えており、「かばおうとして、逆に力が入ってしまう」と、精彩を欠いていた。

それが、蓋を開けてみれば大雨が降りしきる難コースでチップインバーディが2度。また、チップインパーが1回。
難しい最終18番で、残り195ヤードを、4番アイアンで3メートルに乗せてバーディ締めも、また嬉しい。
しかもこのホールでバーディを奪ったのはS・K・ホと自分の2人だけ、と確認して改めて、クラブハウスで小さくガッツポーズを握りしめた。

この日は朝、スタート前に、クラブ契約先の社長がスイングを見てくれた。
「昔から、僕のスイングを知っている人なので」。
的を射たアドバイスとともに、「どうせダメなんだから、ダメもとでやってこい」と言われて、気を楽にして出ていったことも、良かった。
「調子がいいからといって、良いスコアで回れるとは限らないし、調子が悪いからといって、スコアが出ないとも限らない」。
ゴルフの醍醐味を噛みしめつつ、「明日以降も慎重に行く」と気持ちを入れ直していた。

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