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勝負の2年目! 堀川未来夢(ほりかわみくむ)が挑む2016年

ルーキーイヤーの昨季は、賞金ランク41位で初シード入りを果たした。「2年目こそ大事、勝負の年」と意気込む今季の“初戦”は、先月の「SMBCシンガポールオープン」。最終日の58位は後ろから数えたほうが早い順位に終わっても、まずは尊敬する大先輩からの忠告を守れて良かった。

「今年はまず全試合で予選通過を目指せ。その先のチャンスは、残り2日で掴め」。優勝は、運もツキも必要だが、まずはそれらに恵まれる場所に確実にいることが大事で、「シンゴさんは“まずは堅いゴルフで予選通過をして静かにチャンスを待て”と」。
最終日は尻すぼみでも、2年目の初戦で最低限のノルマをクリア出来たことは、滑り出しとしては悪くない。

同じ日大出身の片山晋呉には、昨年のツアー外競技「ネスレ日本マッチプレー選手権」で目をつけられた。
胸板ムキムキのマッチョな身体。それでいて、飛距離には全くこだわらないプレースタイル。そのギャップと、大きな声で元気に挨拶する礼儀正しさや、それでいてちょっぴり天然の堀川の図太さを、片山は面白がった。同選手権であの石川遼を撃破したことで、世間の注目も集めた。

11月のブリヂストンオープンでは、その片山と優勝争いを繰り広げて、お父さんが「未来に夢を持って」と名付けてくれたキラキラネームもいよいよ脚光を浴びることになった。

卒業してすぐにシード選手の仲間入りを果たしても当分、いまのライフスタイルを変えるつもりはない。同級生の山岡成稔(やまおかなるとし)と共に、静岡の大学寮生活は、学生らと毎朝5時半に起きて朝練、朝トレで身体を鍛え、腕を磨き、夜は11時の門限も破ることはない。

「実家の神奈川に帰って自主練習も良いが、同じようにプロ入りを目標に頑張っている後輩たちと、互いに高いところを目指しながら取り組むことが、今の自分の良いモチベーションになっている。一人でやるには難しいことも、寮での規則正しい生活なら抑止力も効く」。

寮費も、食費も大学で負担してもらえることも、まだ駆け出しの23歳には涙が出るほど有り難い。
そして、そんな寮生活で培われた強靱な肉体も「まだまだ」と、思い知らされたのが今週だ。2月8日から始まった、今年2回目のJGTO主催の宮崎合宿「JGTOゴルフ強化セミナーin宮崎フェニックス・シーガイア・リゾート」は、シード選手になってからの今年が、堀川の初参加。

「正直、ナメていました。講義を聴いて、ちょっと身体を動かして、ラウンドして終わりだろう、と」。タカをくくっていたが、とんでもなかった。廣戸聡一先生が率いる鬼のコーチ陣は、実施初年度の2013年から年々、トレーニングメニューを更新し続け、これでもか、と仕掛けてくる。合宿4日目のこの日11日はラウンド後にすぐにフェニックス・シーガイア・リゾート内のプール施設に放り込まれて、さすがの堀川もヘロヘロだ。

「足が…特にキツいです」と、苦笑いで「インナーマッスルをガンガンにやられている感じ。相当しんどいですが、去年は9試合連続というのも経験して、もっと体力強化が必要だと痛感していたので。今回は、参加させてもらって本当に良かった」と、感謝している。
火曜日の9日には、やはり日大の大、大先輩の話をもう一度、聞くチャンスにも恵まれた。髙橋勝成の青空講義は、日大の寮でも拝聴したことがあり、「前回とはまた新しい内容もあり、とても為になった」とそれも今季の糧にする。

今も学生寮の二段ベッドの上と下(注※堀川が上)で寝ているルームメイトの山岡のほかに、一昨年のチャレンジトーナメントの賞金王とも同い年。
「シード権では(今平)周吾に先を越された」と、遠慮無くライバル心をむき出せる同期のプロ仲間がそのほかにも4人いて、「誰よりも、彼らのことが気になる。絶対に、負けたくない」。
そんな堀川の今年一番の感心事は、言うまでもなく、その中で誰が最初に初Vを達成するか。譲れない。負けられない。我こそが、「一番に優勝したい」。学生時代から、互いの底力を嫌というほど見てきただけに、堀川もうかうかしていられないオフである。

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