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カシオワールドオープン 2014
横田真一は実は今週はゴルフどころではないのだけれど・・・?!
順天堂大学大学院の医学研究科修士課程の2年生は、来月中旬に修士論文の締め切りを控えて、そのことで頭がいっぱい。
ずばりタイトルは「プロゴルファーにおける自律神経とパフォーマンスの関係」。
今季はシーズン中に、いくつかの大会で許可を取り、57選手のデータを集めた。その統計処理は、想像以上に煩雑を極めて四苦八苦。
今大会は、主催者推薦をいただいて、開幕前の月曜日も水曜日も、「プロアマ戦のダブルヘッダー」と、恩返しのおもてなしを完璧につとめつつ、「昨日の夜も、ホテルの部屋で、ずっとパソコンに向かっていた」と、寝る間も惜しんで論文の完成に励んでいる。
肝心の本業のほうも「正直、気持ちは来週のQTに行っている」。
2010年のキヤノンオープンで、13年ぶりのツアー通算2勝目を上げたものの、2011年にはまた自身2度目の賞金シード落ちを喫して、「あれから一度もトップ10にすら、入ってないんですよね」。今は出場権にすら恵まれずに、「第二の人生を」とそれもあって始めた研究生活は、プロゴルファーとの二足のわらじも、次第に“本業”から遠ざかりつつあった矢先に、またこうしてツアーで好発進を果たしたりするから面白い。
思い当たるふしがあるとするなら、ホールアウト後の有酸素運動と、前夜の夕食の腹八分目と、繊維質。「“ファイバー”は血糖値が上がるのを押さえてくれて、朝も気持ちよく目覚められる」と、この日は体もよく動いた。
自らの実験結果も上々に、好スタートを切った。
渾身の修士論文が認められて無事、“マスター”の地位を確立できたら「次はドクター」。新年には、博士課程の受験を予定していて、「将来はプロゴルファー初の医学博士になるのが夢」という。
それも「2019年には博士課程を修了して、そうすれば翌年の東京オリンピックでは、何かと仕事があるかな」と、着々と“その後”の人生設計を描く横田。
「プロとしては、さすがにもうダメでしょう」と言いながらも、初日の66は捨てたもんじゃない。それにシード権争いの選手にとっては、これが今季のツアー最終戦で、すわ優勝などということになれば、次週は心置きなく論文を仕上げられるが「だめだめ、その気になったら交感神経上がっちゃうから」。どこまでも、研究結果を基にして「僕はその気になったらダメになるから。どうせダメだと言い聞かせてやるのがいいタイプだから」と、2日目以降も論文に、気を取られているくらいがちょうどいい。
「僕が、崩れだしたらその気になってきたと言うことですよ」と、こんなときこそ普段の研究成果を発揮したい。