どちらも控えめながら、地に足着いた目標を口にした。今年も東京・有明の東京ビッグサイトで開幕した「ジャパンゴルフフェア２０１０」。契約メーカーのテイラーメイドの展示ブースで揃ってトークショーに参加した“同級生コンビ”は、にこやかな笑顔の中に、秘めた闘志を滲ませた。

このオフは、もっぱら地元・群馬県でトレーニングを積む武藤。所属コースの赤城ＣＣは今月になって２度も大雪に見舞われたがそれがかえって奏功した。

「外に出られず毎日６時間。缶詰状態で体を鍛えた」。
専属コーチの小林宏平トレーナーの指導はそれはそれは厳しいことで知られる。

特に、今年は武藤本人のたっての希望で、「筋持久力」をつけるメニューを加えた。
「去年のデータを見たら、週末にスコアが伸びてないのが自分でも気になって」とその理由を明かすがそうなると当然、トレーニングは昨年以上の苦しさだ。
「ひと通りこなしてから、さらに１時間の走り込み。もう、ほんと死んでます」と、顔をしかめるその先に、見据えるものはもちろん結果だ。

「今年はぜひトップ10入り。それくらいやれないと回りにも納得していただけないから」。
通算３勝の自覚も十分に、幕開けを待っている。

そして富田もまた、このオフは肉体改造に励む。昨年９月から、秀島正芳トレーナーと、正式に契約を結んだ。高山忠洋が、すでに秀島さんの指導を受けていた縁で、このオフは高山の住まいがある名古屋を拠点に、共に汗を流す。

昨年は、４月のつるやオープンで悲願のツアー初優勝を飾ったあとも、たびたびＶ争いに加わった。
だが、次の勝利につながらなかったのは「自分を信じ切れなかったせい」と、明かす。
「やはり２勝、３勝と挙げるには相当な実力が必要で、そのためにはやっぱり練習しかない」。
だが終盤は、息切れした。「僕は肩回りが弱く、そのために後半は怪我が多かったんです」。怪我のケアがまずは優先で、十分な練習を重ねる余裕が持てなかった。
「耐えられる筋力、体力をつけなければいけないと痛感した」という。
そのための“自分改革”。
目標を口にするのは、まずそこをクリアしてから。
「それが備わって、初めて次の勝利がついてくる」と、堅実だ。

• 武藤 俊憲
• 富田 雅哉