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ツアープレーヤーの高橋勝成が、兵庫県・西宮市立苦楽園小学校へスナッグゴルフのコーチングセットを寄贈!!(2月28日)

「スナッグゴルフは、笑顔の絶えない家庭作りに役立ちます!!」

2月28日(土)には、それに伴うスナッグゴルフ講習会が、同校校庭にて行われた



まだ幼稚園にも上がらない子からお年寄りまで、幅広い年齢層が同じグラウンドで明るい笑い声をたてている。高橋の理想の風景が、そこにあった。
さらにその輪の中には、2人の息子たちの姿もある。彼らの生き生きとした笑顔。それこそ、高橋の最大の喜びだった。
「家族一緒にゴルフができるって、なんて楽しいんだろう!!・・・こんなに嬉しいことは、ほかにありません。数年前まではこういう風景を、想像することさえできなかったんですから・・・」。
高橋の次男・勝紀君が白血病であることがわかったのは、99年のことだ。以来、高橋 家の壮絶な闘病生活は、5年間にも及んだ。特に勝紀君が、住まいのある西宮から、遠く離れた徳島県の専門医にかかるようになってからは、家族が揃う日はほとんど持てなかった。
「妻は勝紀につきっきり。私も試合で家を空けることが多く、上の子(成輝君)にはずいぶんと寂しい思いもさせてきました」。
それだけに、互いに家族を思いやる気持ちは、よりいっそう強まったといっていい。
昨年11月中ば、いよいよ勝紀君が退院の日を迎えたとき、高橋はずっと胸に描いてき た計画を、実行に移した。成輝君、勝紀君が通う西宮市立苦楽園(くらくえん)小学校への、スナッグゴルフコーチングセットの寄贈だ。
昨年3月、成輝君のクラスで講演会を開いたときにも、子供たちのゴルフへの関心の 高さは実感していた。さらに12月に出場したシニアツアー、MKチャリティシニアオープン(兵庫県・オリムピックGC)。その最終日、競技終了後に開催されたスナッグゴルフのレッスン会で「これこそ、大人と子供が一緒になって楽しめるスポーツだ」との好感触を得た高橋は、同小学校の高木房ニ・校長に、寄贈の意志を伝えたのだ。
「勝紀のように病いを抱えている子や身体の弱い子、小柄な子でも無理なく体力をつ けられるし、技さえ磨けば自分より強い子にも勝てる。スポーツを諦めていたお年寄りだって一緒になって楽しめるし、2世代、3世代で遊ぶことも可能です。そういう幅広い希望を与えられるのが、スナッグゴルフ。これを通じて子供たちの人格形成も期待できるし、なんといっても、笑顔の絶えない明るい家庭作りに役に立つ!・・・ こんな素晴らしいスポーツを、僕の地元地域の人たちにもぜひ知ってほしいと思ったんです」(高橋)。
高橋の熱意に打たれた高木校長は、さっそく校内で、コーチングセットのお披露目もかねたスナッグゴルフの講習会を開催することに決めた。さらに、地元自治会の藤井良輝・会長と、西宮市教育委員会スポーツ振興課の岡本久雄・課長にかけあって、協力を要請した。
おりしも県下では、全小学校区に「地域スポーツクラブ」の設置を支援する事業を進めており、特に西宮市では平成13年に設置された「スポーツクラブ21ひょうご」(※)における具体的な事業実施について、審議を進めている真っ最中だった。
「高橋プロから用具一式を寄贈いただいたのを機に、スナッグゴルフを私たちの推進 事業に盛り込んで、ここ苦楽園を、西宮市における“スナッグゴルフ”発祥の地として位置付けてはどうか、という計画がトントン拍子で進んでいきました」(岡本課長)。
子の健やかな成長を願う熱い思い、まず家族の絆を重んじようとする高橋の強い気持ちが波及して、たくさんの人々の心を突き動かしていったのだ。
そして迎えた2月28日(土)の講習会当日。午前10時からの“第一部”では、藤井自治会長の呼びかけで集まった地元児童と保護者、住民のみなさん約60人が。午後からの“第二部”では、岡本課長の働きかけで集まった、市内各校区を代表する体育指導 員約30人が、スナッグゴルフに初挑戦。
大人も子供も区別なく、めいめい色とりどりのランチャー(クラブ)やローラー(パター)、練習器具のスナッピーを手に夢中になった。午前午後あわせて約4時間の講習会が幕を閉じるころには、誰もが「こんなに面白いとは思わなかった」「子供と一緒に遊べるのが最高やね」「友達にも勧めてみたい」などと口々に、気持ちの良い汗をぬぐった。
この講習会でスナッグゴルフの楽しさを持ち帰った参加者のみなさんから、今後さらに裾野が広がっていくことが期待される。
昼食の時間も返上して参加者の間を飛びまわり、手取り足取りの指導にあたった高橋も「こんなに大きな講習会になるなんて、最初は思ってもみなかったこと」と目をシロクロさせながら、「・・・でもね、実をいうと、いちば~んはじめの動機は、僕が、 家族と小学校の運動場でスナッグゴルフがしたいな、なんて思ったところから始まったんだ。でも、僕らだけじゃ校庭を使うのは無理だし、こうして大勢で遊んだほうが絶対に楽しいじゃない!?・・・それがいつのまにか、西宮市まで応援してくださる、なんて大規模なものになっちゃって・・・」。照れ笑いを浮かべながら話す父を、妻・由貴子さん、成輝君、勝紀君が笑顔で見上げていた。
退院できたから、といっても勝紀君の病状は、完全に楽観視できるものではない。今も週に1回は、徳島の病院に通う日々だ。「家族が揃って楽しめる時間は、限られている。・・・だからこそ、今を大事にしなければ」という高橋は、これからも、スナッグゴルフの普及に尽力するつもりでいる。



写真上左=午前の部は、地元児童と保護者、住民のみなさんがスナッグゴルフにトライ。気持ちの良い汗をかいたあとは全員で、記念撮影。指導にあたった高橋には「とっても優しくて、誰にでも気配りができる人」と人気が集まり、ファンが急増?!
写真上右=家族揃ってスナッグゴルフに興じる時間は、至福の時。クラスメイトのナイスショットに拍手と歓声をあげる高橋一家。左から次男・勝紀君、妻・由貴子さん、長男・成輝君と右端に父・高橋勝成。
写真下左=講習会には、多忙なスケジュールをおして山田知(さとる)西宮市長(=右)も出席。市民のみなさんに混じってスナッグゴルフに興じ、「スポーツは人を育てます。特にゴルフは、相手を思いやる気持ちをはぐくむスポーツ。これを機会 にスナッグゴルフがほかのスポーツと同様、市内でますます発展し、ルールやマナーを重んじる人材が増えてくれれば、と願っています」と、展望を語られた。
写真下右=当日は高橋のほかに、日本女子プロゴルフ協会から菅原芳子プロ(=左端)と鈴木志保美プロが駆けつけ、講師として大奮闘してくださった。

注 ※『スポーツクラブ21』とは…平成12年、兵庫県が『県下の全小学校区に“地域 スポーツクラブ”の設置を支援する事業』を提案。それに伴い西宮市は翌年の平成13年に、地区体育振興会をはじめ、スポーツ関係団体、青少年育成関係団体、学識経験者等のメンバーで構成される『スポーツクラブ21ひょうご』西宮市推進委員会を設置し、具体的な事業実施について、審議を進めてきた。同事業は、来年の平成17年度をめどにしている。