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高橋勝成プロが2006年に兵庫県の尼崎倶楽部という 交流の場での朝食会で講演した内容をご紹介します。(8月14日)

■講演題目
ゴルフを通して感性をみがく

■講演者
プロゴルファー 高橋勝成


■講演内容

◇ご挨拶
おはようございます。今日はティーグラウンドにいる時よりも、大変緊張いたしております。歴史のあるこの尼崎倶楽部朝食会に参加させていただき、本当にありがとうございます。

昨日は、言いたいことをまとめなければいけませんでしたので、まるで大学のテストを受けるような感じがして、大変辛かったです。言葉でしゃべるのは本当に難しいことです。手や足を動かしてレッスンするほうがどれだけいいか、この壇に上がってつくづく思います。

◇すべての人が楽しめるスナッグゴルフ
今回、皆さんに知って頂きたいのは、「スナッグゴルフ」。5年前にアメリカ、イギリスから日本に入ってきまして、だいたい4~5歳、早い子でしたら3歳ぐらいからでも出来るゴルフに似たスポーツです。

アメリカやイギリスでは、ゴルフは教育の一環として行われています。特にヨーロッパでは、ゴルフは日常生活の一部になっています。長い歴史の中で、ゴルフは健康を維持するため、病気にならないための一つの手段として行われてきました。

しかし、日本では、ゴルフ業界の低料金化はされてきましたが、まだまだゴルフはごく一部の人たちのものであることは疑いのない事実だと思います。そして、ゴルフにおいてのマナーの低下も目立ちます。30年ぐらい前は、うるさいというか口のしっかりした指導者が沢山いましたが、今はたんへん無残な姿です。

ゴルフ場もそうです。頷けない事も沢山有ります。日本のゴルフ界が地に落ちた感がします。皆さんご存じでしょうけれども、プロゴルフ協会もそうです。世界から見て、今の日本の現実は、本当にすべてが恥ずかしい状態です。

一つの例を挙げますと、たとえばジュニア教育です。各ゴルフ場のオーナー並びに練習場のオーナーの一部は、口ではいいことを言っていますが、本当に子供達を育てる気は全くないと言ってもいいぐらいの惨たんたるものです。それ故にゴルフを理解されない方もまだまだ沢山いらっしゃるのです。こう言っている私も、実はその中の一人でした。

私は14歳からゴルフを始めましたが、それまでは野球をやっていました。ゴルフなんて十何本もクラブを持つことが出来る卑怯なスポーツだ。打っても走らないし、止まっているボールを打って何が面白いのか。広大な芝生の中で数組しかプレー出来ない本当に贅沢なもので、こんなものはスポーツとは言えないというのが、私が14歳の頃のゴルフに対するイメージでした。

それが今では、ゴルフを職業とするようになり、ゴルフは教育にいいスポーツだと180度変わってしまったという面白い自分がここに居ます。

さて、私がスナッグゴルフに目を向けるようになったのは、私の次男が2年前に8歳で他界したのですが、彼が5歳の終わり頃からスナッグゴルフを始めていたことによります。

私は常々、子供が大きくなったら家族でゴルフをするのが夢だったのですが、その夢が早いうちに実現したのです。本物のゴルフではありませんが、本当の芝生の上で家族4人でラウンドし、たいへん幸せな時期を過ごさせていただいたのが、スナッグゴルフだったのです。

スナッグゴルフのいい点は、健康で精神状態も全てがいい子供達だけでなく、歩行が困難な子供や少し内気な子供、しゃべらない子供、体の不自由な子供、さらには車いすの子供でも出来るところです。なおかつ、その中でも一番いいのは、親も揃って一緒に子供と遊べることです。また、年代が違っても話題に事欠かず、わだかまりもなく、同じ趣味で一日を楽しめるという非常に大きな特徴を持っています。

スポーツは、どうしても若い人なら若い人だけの集まり、年配の方なら年配の方だけの集まりになってしまいがちです。しかし、本来そうやって区別するものではなく、5~6歳から90歳の方まで皆な揃って出来るのが、理想的なスポーツと言えるのではないでしょうか。

私は今、健常者だけでなく全国の子供達、学校に行けない子供達、幸せな家庭を築けなかった施設の子供達、そういった子供達にスナッグゴルフをどんどん広めて行きたいと考えています。ゴルフはごく一部の人たちのものという間違った認識ではなくて、ゴルフは教育的にも良いことを知ってもらいたいのです。芝生の上で日光を浴び骨を強くする。病気にうち勝つ体力を付ける。いろいろな方々とお話しし、その中で先輩を敬う言葉、後輩の面倒を見る態度を身に付ける。これら全てがこのスナッグゴルフを通して出来ることを、小さいうちから学ばせていきたいと思っています。

◇スーパースター誕生
ここで、スナッグゴルフについて説明しておきます。 SNAGとはStarting New At Golf(ゴルフを始めるために)の頭文字をとったものです。打つクラブは、ランチャーと言って、S、M、Lサイズがあります。Mサイズより5センチほど短いのがSサイズ、Mサイズより3~4センチ長いのがLサイズで、これは私たちぐらいの人たちまでみんな使えます。Mサイズで140~150センチぐらいの方々です。

ボールは、ほとんどテニスボールと変わりません。非常に軟らかいものです。私たちが思いっきり打っても、だいたい50ヤード行くか行かないかです。子供達でも、使い方によっては30~40ヤードは平気で飛んでいきます。ですから、一つのホールを作るのに、だいたい30ヤードから40ヤード、長いところでも70ヤードくらいです。そのように設定しておくと、私たちともハンディ無しで闘えますので、子供達はすごく面白いと感じているのです。

また、もう1本、パターがあります。グリーンもつくります。グリーンは、ロープを使ったり白線を引いたりして、直径10メートルぐらいの円をつくります。そこにカップのかわりに30センチぐらいの円柱を置きます。ここに、転がってきたボールがくっつくようになっているのです。くっつくとゴルフで言うカップインになります。SNAGは英語で、くっつくという意味もあるのです。競技方法はゴルフのルールとまったく一緒です。

フェアウェイではゴムティーを使います。ティーショットからグリーンに乗せる迄は、全部ゴムティーの上にボールを置きますから、ゴルフ場の芝を傷めたり、体育館など室内でやるときでも床板を傷めることがありません。メンテナンスの面でゴルフ場に迷惑をかけずに皆さんに楽しんでもらえると思います。

今までやってきて素晴らしいところは、私がプロゴルファーであっても、子供達がハンディキャップを貰おうとしないことです。飛ぶ感覚がほとんど変わらないからです。ですから、子供達は、私がプロゴルファーであろうと何であろうと、ハンディを貰わずにそのまま裸でぶつかってきます。そこに子供達の面白さがあるようです。

もう一つ、昔ゴルフをやっていたのだけれども、70歳を過ぎて足を悪くしてゴルフをやらなくなってしまった、あるいは体を壊してゴルフは止めてしまったという方でも、「昔とったきねづか」で出来るのです。

ゴルフをやっていた方なら、30~40ヤードのマットに当てることくらい簡単なのです。しかし、子供達から見たら、マットに当てるのは非常に驚異的なことなのです。一気にスーパースターになれます。スーパーお爺ちゃん、スーパーお婆ちゃんになって、子供達の素晴らしい教育者になれるのです。

子供はある意味では非常に冷酷なもので、大人だといろいろと理解していただけますが、子供は理解しません。そのかわり上手な人に対しての目の色は変わります。ですから、ゴルフ経験のあるお爺ちゃん、お婆ちゃんに子供の指導に入っていただくと、ご本人にとって生き甲斐というか、今までと違った明るさを出してくれるのです。私にとっては、そこがやっていて良かったなと思うところです。

◇親子の役割逆転現象
一方、このスナッグゴルフでは、遊びの中でみんなが覚えなければいけないちょっとした心理学を少しずつ取り入れて、私たちも含め若いお父さん、お母さんに理解してもらい、自分たちがどれだけ危険な行動を取っているかを早く認識してもらう事も出来るのです。

その中の一つの例を皆さんにご紹介したいと思います。心理学者のゴルビーさんという方が発見した心理学です。これを聞くと、現代の悩めるお父さん方、お母さん方、本当にドキッとすることがあると思います。

最近は子供が関わるいろいろな事件が起きていますが、これが原因となった事件が多いのではないかとも言われています。親が子供を世話するのが本来です。ところが現実には、親が子供に自分の世話をすることを要求し、実際にそれが行われることがあります。親が子供にしがみつく現象です。

日常生活において親は子供を育てるために、子供の気持ちをくみ取ります。子供は、自分の気持ちを親がくみ取ってくれることを求めます。ところが、「親子の役割逆転」では、親が子供に自分の気持ちをくみ取ることを要求します。子供がそれをします。親はそれをしない子供を憎みます。非常に怖いことだと思います。

親は必要なときにいなければならない存在です。ですから、子供は、自分がいてもらいたいと思う時にいない親を憎みます。しかし反対に、子供が親の期待に沿えないときに、親が子供を憎むことがあります。これは「親子の役割逆転」という心理現象だそうです。

普通、この「親子の役割逆転」はなかなか出てきません。そのことに親は気付かずに、子供こそは特別な世話をしなければならない、保護を必要としているのだと何時も思っています。ところが、内面にはこういう隠された事実があるのです。父親も母親もなかなか分からないところだそうです。

今の親たちは料理をつくるにも、若者と同じように、今、流行のものを作りたがります。それが格好いいと考えているのです。出来上がったものに対して、子供に褒められたい、褒めてもらえば嬉しいと思うのです。子供の心を汲み取るのが親なのですが、自分の心を子供に汲み取ってもらいたい、親が子供と同じように褒め言葉が嬉しくて、自分の気持ちを汲み取ることを子供に要求するのです。つまり、自分が作った今流行の料理を、「お母さん、よく出来たね」とか、「お母さん、すごく進んでるね」と子供に褒めてもらいたいのです。

父親にしてもそうらしいです。父親が一生懸命働いて車を買ったとします。その車を子供が褒めてくれると、父親は嬉しいのですが、反対に「なあんだ、こんなものを買ったんだ」と言われたときに、「親子の役割逆転」現象が出てくるらしいのです。

子供が親の気持ちを汲み取らないと、親は子供に愛と憎しみ怒りと不安の混合した感情を抱きます。そこで、その子供を責めます。反抗期の子供と同じように親がなるそうです。これは、現代の父親、母親、また私たちの内面に隠された非常に危険な一面だと思います。

このことを踏まえてお父さんとお母さん、子供達、お爺ちゃんとお婆ちゃん、皆なで一つのスポーツをする事によって、心理学をどこかで少しずつ入れ、子供達とのコミュニケーションをどうすればいいか、親は子供に何をしなければいけないかが自然に判っていく良い機会になると思います。本当のゴルフでは、またこれがなかなか難しいのです。ところが、スナッグゴルフなどの遊びの中でやると、お父さん、お母さんの心理現象という話も遊びながら自然に体得していけるのです。非常に素晴らしいことだと思います。

◇ゴルフの土台
ところで、皆さんが一番知りたいことをお話ししましょう。今までゴルフをやられている方は、皆バックスウィングが大事だと言っておられますが、バックスイングはほとんど要らないのです。要はインパクトとフォローなのです。

私たちが一番悩んだのは、インパクトとフォローの研究が少なかったことです。バックスイングは「計画」で、インパクトとフォローは「実行」です。自分がどういう目的でどう打ちたいのかが判らないと、計画は立てられません。計画を立てたとしても、一番よくないのは、計画ばかり立てて具体的な実行方法がわからない、実行があやふや、実行後に何の反省と次への対処もないことです。これではやっていても自信が付いてきません。

ゴルフというのは、何百ヤードも離れた遠いところにある直径がボール4つ分ほどの小さな穴にいかに入れるか、入れるためにはどうしたらいいかというスポーツです。ボールをうまく打てるようになって初めて感じることは、「打ち方」ではないということです。その方向にきちんと正しく立てるか立てないかの問題です。きちんと振れる姿勢で立てるかどうかなのです。あとの振り方は、体を柔軟にトレーニングしておけば簡単に出来るものなのです。

ところが、多くの人は、アドレスやボールの置き場所や握り方ではなく、一番大事なのは打ち方、要するに「技術」だと思っているのです。難しくないのです。ゴルフは技術は何も要らなくて、ただクラブを上げて下ろす感覚さえあればいいのです。あとは正しいセットアップの仕方さえわかれば、何も怖くありません。

非常に抽象的な言い方ですが、これを自分たちの私生活に置きかえると、一日一日違う技術を使って生きていくのではなく、素直に自分の路線をきちんと決めることが大事だとわかってきます。色々な理論や生活態度の中からどれが一番かを早く見きわめて、その理論からスタートしていけば、結果はあとから自然についてくるのではないかと思います。そんなに甘いものではないと言う方もいらっしゃるかもしれませんが、今後、私はそのように生きていきたいと思います。

◇もてなしと伝統
ゴルフを覚えることによって、道徳観が身につきます。ゴルフには特別なマナーがあります。まずは打つ人の前後に立たないことと、打つときに大声を出さないことでしょう。次に一緒に回る方、そして前後の組の方に迷惑をかけないこと、それと自分で傷つけた芝は自分で直すこと、自分でとったバンカーの砂を自分で直すことです。

ところがゴルフ場に行くと、最近はお客さんが多いせいかキャディーさんが全部やります。これでは何の意味もありません。今のゴルフ場のやり方は非常に杜撰です。こういうことをプレイヤーのためのゴルフ場づくりと言っていますが、これは非常に間違った方向付けです。間違った大人のつくり方をしています。自分で掘った穴は自分で直す、自分でつけた傷は自分で直す、自分がつけた砂の跡は自分で直す、何でも自分で直すことをもう一回ゴルフ場の中でやっていかなければいけないと思います。プレイヤーに楽をさせるためにキャディーさんが全部やるというのは異常な状態です。

ゴルフ場作りもそうです。プレイヤーがプレイしやすいようなゴルフコース造りと言っていますが、とんでもない話です。メンテナンスがし易く、何百年も持つようなきちんとしたゴルフ場作りが大切なのです。

平らなゴルフ場は自然排水が出来ません。自然排水が出来ないから、お金をかけて土中に土管を沢山入れなくてはなりません。平らなゴルフ場は、打ち易くお客さんが喜ぶいいゴルフ場だと言われますが、とんでもない話です。やはり、お金をかけずに自然排水が出来るゴルフ場が良いのです。

水が溜まらないように、フェアウェイにもうねりをつけなくてはなりません。打つほうは、起伏の中で打たなければなりませんから、非常に辛いです。辛いけれども、その辛さの中でどうやったらうまく打てるかを考えるのが、良きゴルファーとして一番大事なことです。しかし、それをしたくないメンバーの方が沢山いらっしゃるのも現実です。

プレイがし易いコース造りは、日本における一番間違ったコース造りの一つです。ヨーロッパの伝統を守る国は、昔からプレイヤーに合わすのではなく、その伝統を守るコースづくりに専念しています。日本も早くそちらのほうに目を向けるべきで、今の間違ったというか、あまりにもプレイヤーの傲慢なスタイルを容認するような状況を早く解消すべきだと思います。

◇ゴルフから学んだこと
私は、1975年(昭和50年)にプロになって、昨年ちょうど30年目を迎えました。30年間いろいろとやってきた中で、子供達のことを考えてはいましたが、次男を亡くすまでは、ここまで子供を理解出来るとは思っていませんでした。この気持ちが10年前、15年前にあったら、もうちょっと変わっていたと思います。

私は、ゴルフを覚えていて本当に良かったなと思います。もしゴルフを覚えていなかったら、自分の性格からして今どういう生活を送っているのか、ちょっと自分でも怖くなります。ゴルフを覚えて、皆さんから色々なことで助けられ、様々な方から支援を受けてきました。

私は、大学でゴルフ部に在籍し、卒業後家業を継ぐため1年間札幌に帰りました。その後、ゴルフを諦められず親と喧嘩して家出し、茨城県にいる大学時代の友達のところに押しかけました。そこはゴルフ練習場だったのですが、そこに3カ月間居候をしました。それから、茨城ゴルフ倶楽部に入り、キャディ、コース整備などの下働きをしながら1年間の研修の後、1回目のプロテストで合格しました。

テレビを見ている人から、時々「高橋はまじめだ」と言われますが、これは、実は私の本性ではありません。仲間がつくってくれたもので、本当に皆さんに感謝することでやっと出来たことです。ゴルフを覚えたことに感謝していますし、仲間にすごく感謝しています。このような中で、ゴルフをやっていて、自分でわかったことを幾つか紹介します。

まずは、今まで感じなかった自然の美しさに気付き、自然の美に対する感受性が養われたことです。

次に、たとえ成果は出なくても、やればやるだけ必ず何らかの結論が出ることが分かりました。つまり、努力は絶対に自分を裏切らないのです。

素直な心を持ってゴルフに対処することが大事であることもわかりました。本当に素直がどれだけ大切なことか、素直がどれほど自分の強い味方になってくれるか、このことにも気付きました。要するに「シンプル・イズ・ベスト」です。

さらに、刻々と変わる天候、コースの状況に対して、的確な判断を出来る事が身につきました。これは日常生活においても、また人づくりにおいても言えることです。自分の第六感を信じられる、これはやはりゴルフをやっていたおかげだと思います。

また様々な職業の方々との交わりができまして、夫々の職業においての察知能力・身の守り方など、色々な話を聞くことによって、反省し、気付かされることが多く、自分の身の正し方もわかってきました。

さらにもう一つ、ゴルフをやる上では、一応自分が主役だという形ですが、やはり本当の主役は自分の持っているボールと道具だということです。私は黒子に徹していけば、いつかはその道具が自分の身を助けてくれることも、ゴルフを通じて学びました。

◇自然のなかでまず遊ばせる
スナッグゴルフで私が一番大事にしていることは、とにかく子供と一緒にゴルフ場に来て頂くことです。空気の素晴らしさ、緑の美しさを感じ、芝の上で子供達を思いっきり走らせてあげたいのです。怪我をしてもいいじゃないですか。擦りむいたっていいじゃないですか。子供が「もうイヤ」と言うほど走らせてあげたいのです。気が付いたときには子供が寝ていてもいいのです。とにかく芝生の上で思いっきり遊ばせて欲しいのです。虫と遊ばせてあげたいのです。

それに飽きたら、スポーツでもやってみようかという、それくらいゆとりのあるゴルフ場の使い方をしたいのです。ゴルフ場の芝生の上で家族が一家団らんの時を過ごす楽しさ、自然に触れる楽しさを感じて欲しいのです。

今はいろいろ事件が多過ぎて、家の外で遊んではいけないと言われる、また、学校の運動場がコンクリートに変わったので土がない、そういう自然に触れることの出来ない子供達が非常に多いのです。お父さん、お母さんにはそれが分かっていても、なかなか自然のあるところに連れていけないのが現状です。

ですから、せめてスナッグゴルフという名前を借りながらでも、とにかくゴルフ場で子供達に精いっぱい遊んでもらいたい、この経験をして欲しいのです。とにかく丈夫な子供にして頂きたいのです。コマーシャルではありませんが、本当にわんぱくでもいいから元気な子供に育って欲しいのです。

元気な子供になれば、嘘もつかなくなります。とにかく元気な子供をつくることが一番大事なことだと思います。そういう元気な姿を見て、親たちは、反省すべきところは反省して、いろいろと感じていただきたいなと思います。

そして思いっきり遊ばせた後は、親子そろって一つのゲームをやって頂きたいと思うのです。体の動きという面から言いますと、白い球を打つ動作は非常に簡単なことです。小さいうちからゴルフに親しんでいくと、子供達が上手くなっていっても、目くじらを立てて叱ってまで、子供にいいスコアを出せと言う親は少なくなるというデータがあるそうです。

ところが、中学、高校になってから始め、上手くなっている今のジュニアたちは、親から相当言われるそうです。90打った子がボーっとしている。「どうした」と聞くと、「90いっちゃった」「いいじゃない。90打つのは当たり前だよ。これから練習すれば70台も夢じゃないんだから頑張れ」と慰めても、「嫌です。家に帰ったら殴られる」「誰に?」「お父さんに」。これが現状です。

そんな子は何をするでしょうか。親の明るい顔を見たさにスコアを誤魔化します。そういう誤魔化しが、今のジュニアでは蔓延しているそうです。

それは何故でしょうか。ゴルフが大衆化して長くなるのに、やはりゴルフはまだまだ特殊なものなのです。親には、そういう特殊なものを子供にやらせているという感覚があります。そのため、「何故おまえは上手くならん」、お母さんからも「何故あなたはこれだけ練習しても上手くならないの」と責める一方です。

要するに、ゴルフを間違った面でとらえて、子供達を見ている親が非常に多いのです。だから、そういうことも含めて、小さいうちから家庭の中で笑いながら楽しく、お爺ちゃん、お婆ちゃん、お父さん、お母さん、おじさん、おばさん、皆なが年代の層を超えて、スナッグゴルフを通じてゴルフとはこういうものだと理解していただければ、本当にゴルフが教育にいいことがだんだん解ってくると思います。その意味でも、このスナッグゴルフを、私は生涯を懸けて子供達に伝えていきたいと思います。

年に1回、USB日本ゴルフツアー選手権があります。今年は6月の第5週に茨城県の宍戸ヒルズカントリー倶楽部で行われますが、ちょうどその週の土曜日、同じ宍戸ヒルズCCでスナッグゴルフの全国大会「第4回スナッグゴルフ対抗戦JGTOカップ」があります。去年、兵庫県宝塚カントリー倶楽部で行われた予選会には、亡くなった次男の同級生たちの西宮市立苦楽園小学校チームが参加しました。彼らは、私たちには内緒でスナッグゴルフのチームを作り、予選を突破して、全国大会に行きました。今年は、去年最下位だった尼崎の大庄小学校が屈辱を見事に晴らし、予選2位で全国大会に出場します。彼らは1年間で実績を出しました。尼崎市の教育委員会でもかなり評価され、いろいろなラジオや新聞で報道されるそうですので、どうか皆さん、機会がありましたら、というより絶対に見てあげてください。

■尼崎倶楽部とは
尼崎倶楽部は新しい交流の広場です。 現代人に必要な心のゆとりを取り戻すとともに、各方面の方々が自由に集い歓談し、意見交換・情報交流を行い、相互理解と地域認識を深め、やがて活気ある尼崎の形成に大きな役割を果たしていく交流の場。それが会員組織の尼崎倶楽部です。

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