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阿久津未来也の新・監事のお仕事

昨季の賞金ランキング27位でレギュラー昇格を果たした。

プロ6年目の阿久津未来也(あくつ・みきや)は、22-23年のジャパンゴルフツアー選手会の監事に就任。


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今季の初シード選手は16人と、史上2番目の多さという中で、唯一の要職についたが「僕としては、実は理事での初当選を狙っていました」という。

 

「今、男子ゴルフはあまり明るいニュースが出せていない。この先の5年、10年を考えた時に、僕としても非常に危機感を覚えていて、特にこれからプロを目指すジュニアの子たちのためにもぜひ選手会に携わり、少しでも貢献できればと思っていました」と、ひそかに期待しながら今年1月6日の選手会・理事会での選挙開票を迎えたそうだが、残念ながら、理事に就くには得票数が少し足りなかった。


「でも、監事のほうでは皆さんから票をいただいて、このたびの初就任となりました」と、背筋を正してご挨拶。



谷原さん、今年は選手会でもお世話になります!©JGTOimages

 

選手会の監事職とはその名の通りで、理事会や選手会運営が公正に行われているか、第三者的に監視する、いわばお目付役。予算や、チャリティ金などの収支がきちんと管理されているかなど、運用費に関しても重要な責務を負う。

 

理事会での直接的な発言権はないが、選手会長の許可を得れば意見や議題を提案することも可能だ。

「谷原(秀人)さんは一見、ゴツい印象ですがオン・オフがはっきりされているだけで、話すとめちゃくちゃ優しくてお茶目な人。アニキ肌で頼りになるし、監事として入らせてもらえただけでも良かった」と、新体制入りを喜ぶ。

 

新・選手会副会長の中西直人が、3月13日―14日に開催を予定しているジュニアのための大会にも自ら出場選手に立候補。クラウドファンディングで運営資金を募るイマドキの形にも共感し、「僕もぜひ、子どもたちの未来が明るくなるようなサポートをしていければ」と、張り切っている。

 

3年前から始めたという連戦中のインスタグラムには、毎日ほぼ必ずスポンサーや支えてくれる方々への感謝の言葉が並ぶ。

2019年のABEMAツアー賞金ランキングで9位に入り、初めて翌年のツアー出場権を獲得したものの、コロナ禍で軒並み試合が中止となった。

不安と失意を経験したことで「僕らプロゴルファーは、試合をさせていただいてやっと人になれるというか、生かされていることを痛感した」という。

「ですから余計に目の前の1試合がありがたく、まずはやっぱり試合のお礼をと思うとそれだけでコメント欄がいっぱいになっちゃう。もっと面白いことも…と思うんですけど結局、毎回まじめな感じになっちゃいます」と、SNSにも誠実さがにじむ。



ある試合での練習ラウンドの一コマ。左からジンバブエのビンセントと啓太くんと片山さん。僕の大好きな選手がそろい踏みです!

 

いよいよ、3月末に控えた国内開幕に備えて先月2月には、宮崎合宿中の片山晋呉を訪ねた。自ら門を叩いて“入門”した昨季に続いて2度目の参加が実現した。


「母校(日大)のレジェンドですし、最初は声をかけるのも緊張しました。でも今年の合宿時は『未来也、俺のスイングどう思う?』って、まさか、片山さんのほうから聞いてもらえたり、ほんの少しですけど距離が縮まった感じがして本当に嬉しかった」と話す。

 

昨季はトップ10入りが2度。安定した成績を残してシーズン統合の2020、21年ともに年度最終戦の「ゴルフ日本シリーズJTカップ」に出場を果たせたのも「片山さんのおかげ」と感謝し、獲得賞金では前後(片山は28位)で数字を並べられたことにも「勝手に運命を感じちゃってます」と、感慨深い。



昨年のダイヤモンドカップでは日大後輩のリッキーこと星野陸也の儀式を演出しました

 

最終日の18番ホールで行われるJGTO恒例の「勝者の儀式」に昨季は7試合で参加。

優勝シーンの公式動画には、高確率でペットボトルをさげた阿久津が映りこんでいる。

 

年齢も国境も越えたスポーツマンシップが随所に見られた先月の北京五輪でも確信した。

「自分も全力でプレーして、もちろん負ければめちゃくちゃ悔しいんですけどその場では、自分の気持ちはいったん抑えて一緒に頑張ってきた仲間を称えて分かち合うこと。僕も、そういう選手でありたい」と優勝の瞬間に立ちあえなかった場合でも、懇意の勝者には、すぐに直電。


昨年9月の「パナソニックオープン」でも、史上5人目のアマVを達成した日体大3年の中島啓太さんを、最速のお祝い電話で喜ばせると共に、「若い子たちにもどんどん突き上げられている。僕も負けずに頑張ろう」と、刺激にしている。

昨季は祝う側に終始したが、今年は「自分も早く祝福される立場に」と、意気込む。

 

初シード選手として踏み出す今季、日大ゴルフ部同期でプロキャディの三谷拓斗(みたに・たくと)さんと、昨年に続く再タッグで「一緒に初優勝を目指して頑張ろう!」と、思いもひとつ。

 

「去年はチャンピオンたちにお水をかけながら、『俺の時にも祝ってね』というメッセージもひそかに込めておいたんですよ」と、言って笑った。

「未来也」と書いて「みきや」と読むことから、あだ名は「ミッキー」。
新・監事のミッキーが、今年こそ勝利の儀式をセルフプロデュースできるか。

日大同期の拓斗と一緒に初優勝を目指します。今年もよろしくお願いします!




昨年はリッキーの勝利の儀式をプロデュースしました!!

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