自主的に事前の検査を済ませてきたものの、3、4時限目を活用して行われた初心者用具の「スナッグゴルフ講習会」では蒸した体育館で「マスクをつけるべきか、外すべきか…」。
ピーク時に比べると、感染数は減ったとはいえ直前まで大いに頭を悩ませたし、子どもたちと一緒に教室で、20余年ぶりに味わった給食でも黙食を意識した。
「夢を持とう」と題した5時限目の講演会では、子どもたちが余計に夢を描きにくくなっただろうと感じるこの時代にこそ、「少しでも一助になれば」と、前回にも増して心を砕いた。
「みんなの夢は何?」と、真摯に耳を傾け「まだ夢がない…」と、打ち明けた子には「焦らないで。中学、高校と環境が変わればやりたいこと、好きなことがきっと出てくる。心配しないで大丈夫」と励まし、講義前の小林義直・校長先生との談話で「今は失敗からなかなか立ち直れない子が多い」と聞けば、自称「日本一切り替えの早い男」のみせどころ。
「僕も失敗したら、めちゃくちゃ落ち込むけど実は失敗から学べることのほうが多い。失敗した原因をできる限り早く見つけて次につなげる努力をしてみよう」と、明るく解いた。
小鯛がこの日、7月5日に訪問した兵庫県三木市の豊地(とよち)小学校は、神戸市西区の自宅から車でわずか15分ほど。
学校のすぐ近くには、練習コースとして17歳でのプロ転向から今もたいへんお世話になる三木ゴルフ倶楽部もある。
また、2017年のツアー初優勝は、ここからさらに30分ほどのABCゴルフ倶楽部(兵庫県加東市)で行われている「マイナビABCチャンピンオンシップ」だった。
まさに、思い入れがいっぱい詰まった馴染みの我が庭に、ジュニアのためのゴルフレッスンと、学習塾併設の「BFSゴルフアカデミー」を設立したのは昨年。
頭の「BFS」は「Birdie For Someone(バーディ・フォー・サムワン)」の略で、コロナ禍中で選手会の副会長に就任した一昨年に、「児童虐待ゼロ」を掲げてスタートさせた自身の貢献活動とリンクさせている。
今では20人余の近隣ジュニアが通い、今月17日には、3度目の公開レッスン会を行う予定だ。
地元三木市には、西日本一となる25か所ものゴルフ場があり、一昨年には「ゴルフのまち推進課」という部署ができたばかり。
小鯛の取り組みは、ゴルフの普及に本格的に乗り出した自治体からも熱い視線を受けている。
この日のスナッグゴルフ講習会も、全校児童51人を前に「プロを目指す、という子だけではなく、純粋にゴルフに興味を持ち、楽しんでくれる子を一人でも増やしたい」と奮闘し、「面白かった」「またやってみたい!」と、口々に感想を述べる子どもたちに目を細めて「自分も少しは貢献できた」と、手応えをつかんだ。
今年10月にはスナッグゴルフ大会が、小鯛のホームコースでもある三木ゴルフ倶楽部で行われる予定で、挑戦を呼びかけた小鯛に、最後は子どもたちからも“宿題”が出された。
締めの挨拶をしてくれた代表児童が「たくさん優勝して、豊地小学校の名前をテレビで言ってください!」。
秋には、大会2勝目を狙う「マイナビABCチャンピオンシップ」のほか、今年の「日本オープン」は、三木市の三甲ゴルフ倶楽部が舞台だ。
地元開催の日本タイトル戦での通算2勝目を自らに課して「頑張ります!」と、子どもたちの前でいっそう気合いが入った。