18番ホール(579y・PAR5)で行われたプレーオフ1ホール目。アドレナリンが出ていたという小木曽は、ティショットをグリーンまで残り約235ヤード付近まで飛ばす。楽々2オンに成功させる。
一方の高柳はティショットを左ラフに入れて、セカンドショットはレイアップ。サードショットもカラーとラフの境目に止まり、それを果敢に入れにいくも外れ、このホールをバーディとした小木曽が嬉しいABEMAツアー2勝目を飾った。
愛知県出身で、高校は福井県の福井工業大学付属福井高校に進んだ小木曽。3年生(2014年)のときには日本アマを制し、福井工業大学に進んだ2015年にプロ転向を果たす。翌2016年にABEMAツアー最終戦の『Novil FINAL』でツアー初優勝を飾り、その後の活躍が大いに期待された。
このままレギュラツアーでも活躍し、優勝するのも時間の問題だろうと誰もが思っていたし、小木曽自身もそう感じていた。ただ、その後は勝てそうな試合で勝ち切れなかったり、優勝争いをしていても最終日に崩してしまったり、徐々に小木曽自身が今のままの技術では限界だと感じ始めた。それが今から3年ほど前のこと。そこからフィジカル面を強化し、スイングも改造した。2年くらい前からプロコーチの堀尾研仁氏に見てもらうようになり、スイング理論だけでなく、データ分析からスイングを紐解く方法がマッチした。
「6年前に何もわからないまま勝つことができた初優勝と違い、今回の優勝はいろんな人と出会い、いろんな人に応援してもらえる立場になっての優勝なので本当に嬉しいです」。
これを入れればプレーオフに持ち込めるという最終18番ホールのバーディパットは、記憶に残る痺れるパットだったと振り返る。いつもは淡々とプレーする小木曽が珍しくガッツポーズで気持ちをあらわにした。
実は先週の『JAPAN PLAYERS CHAMPIONSHIP CHALLENGE in FUKUI 2022』で、第二の故郷とも言える福井を久々に訪れ、大学時代の恩師や先輩らに会うことができ、叱咤激励され刺激を受けたと言う。さらに優勝を飾ったのが大学の後輩になる@髙宮千聖さんだったため、一層気合が入った。そんな小木曽の気持ちが乗り移ったパットだったと言える。
もちろんこれがゴールではない。ABEMAツアーの賞金王、そしてレギュラーの優勝に向け、さらなる進化を期待したい。