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日本オープンゴルフ選手権競技 2002
「安心感が、違います」
ひときわ目をひくいかついサングラス。
ヘタすると、“ボス”よりも目だってしまいそうなキャディは、ツアープレーヤーの野上貴夫だ。
開催前日。当初、宮里のバッグを担ぐ予定だったキャディが、急用でキャンセル。
慌てた宮里が白羽の矢を立てたのが、たまたまコースを訪れていた野上だった。
今大会には出場権がなかったが、自宅が、コースに近い北九州市にあり、デビュー当時から親しい2人は約束して、久々に夕食をともにする予定にしていた。
グットタイミングとばかりに、宮里がその場でキャディを依頼すると、野上はふたつ返事で答えてくれたのだった。
いざ、本番。
野上のアシストぶりは、「完璧です」と宮里は舌を巻いた。
普段から、よく下関でラウンドしているという野上のコース戦略は完璧で、「普段のツアーより数段、安心感が違います」と、たった1日で、絶大の信頼感を寄せた。
また、グリーン上の読みにも定評がある野上。以前、ともにラウンドしたジャンボもあきれ返ったほど、複雑なラインを読みきり入れまくった、という逸話も残っている。
この日は、この野上の名キャディぶりにも助けられて4アンダーの好スタート。
「最強タッグですよ」と野上は、もともと筋肉で厚く盛り上がった胸を、ますますそらした。
その横で、宮里も誇らしげに胸を張りつつ、「プロに並みの値段じゃ、申し訳ない。最終日のギャラ、張り込まなくちゃ…」と、ちょっぴり不安げな表情を浮かべていたが…。