「今年は記念の大会ですし、出られるだけで嬉しい」と初々しく言ったが、あまたのプロにまみれて初出場で初日にこの位置。
フェニックスカントリークラブはアマ選抜のナショナルチームに解放されている強化コースだが、合同の合宿場はアカデミーを擁する練習場と、おとなりのトム・ワトソンコースがもっぱらで、本コースは中学時代にジュニアの試合で回って以来。
「1回曲がり出すと、びびって曲がり続ける。練習ラウンドでもそうでした」というほぼ初ラウンドのコースで、8バーディとボギーは1つ。
4番から連続バーディ後の6番では「完全なミスショット」。右に曲げたティショットは右に跳ね、さらに窮地になった。
「ボールの後ろに木があって、ちゃんとテークバックもできなかった。乗せるので精一杯」と、辛くも切り抜けると、すぐ7番、8番とバーディを続ける底力を見せた。
決勝ラウンドでこそ回りたいのはやっぱり、松山。
「オーラが思ったより大きかった。そこにいる、という感じ」と、畏怖するメジャー覇者と1差につけたが、翌2日目はまだ大会前に決められた組み合わせのため、お楽しみはあさって以降にとっておく。
「今日は凄く良いゴルフができたので明日も伸ばしていきたい」と、気合いが入った。
勝者にマスターズの出場資格がある先月のアジアアマは、プロ転向時期を来季にずらすほどの覚悟で臨んだが、予選敗退した。
「まさか、落ちるとは思わず。ヘコみました」と落胆をこらえて、悩まされたショートパットの練習に明け暮れ、「きょうはバーディーパットが思うように打てた。距離感が合っていて、イメージした通りに転がった」と、量産につなげた。
愛知県出身。お父さんの手ほどきで3歳からゴルフを始め、福井工業大付属福井高校から日大へ。
ツアーでも活躍し、2017年の初出場から21試合に出て、2022年の日本オープンで3位タイの成績を残すなど、プロ顔負けの活躍をしてきた。
いよいよ、今月28日から、来季のツアー出場資格をかけたQTサードが始まる。
その直前に得た大チャンスだ。
本大会のアマ成績は、2012年に松山が残した2位が最高。
「チャレンジャーなので、失うものは何もない」。
大会初のアマVで、一気に仲間入りする手もある。