シニアのPGAのみなさんの朝もまず、子どもたちへのクリスマスプレゼントから始まる。
大会に見学に訪れた地元ジュニアの子たちや、スナッグキッズにお菓子がいっぱい入った赤い袋を配って歩く。
それぞれのスタートまでまだ時間はいっぱいあるのについつい、みんなスタートの1番ティに集まってくるのもすっかり染みついた習慣だ。
自分の番でもないのに、ぶんぶんとクラブを振ったり、顔をつきあわせてあーでもないこーでもないと井戸端会議をしてみたり。
「年を取るとせっかちでねぇ・・・」と済まなそうに言うのは男子ゴルフで3回、シニアツアーで2年連続と、合わせて5度目の出場を果たした藤田寛之プロ。
ちなみに、男子ゴルフでは通算18勝、43歳の2012年には賞金王に就いています、念のため。
そんなレジェンドは、ふと後ろのロープ際のギャラリーさんに気がついて「僕らで見えないですね」と、そそくさと腰をかがめる。
気配りの人たちである。
4年ぶり7度目の出場を果たした石川遼も、「久しぶりにシニアのみなさんとラウンドできて、個人的には藤田さんと回れたのは楽しかった」と、感想を述べている。
シニアツアーの最年長ということは、当然、全出場選手の中でも最年長の61歳、久保勝美プロ。
「久保さんの、キャディさんは小久保さん。ギャグですね」と可笑しそうに笑うのは、シニアのPGAのスタッフさん。
久保プロは、前半9ホールの同じティから打つ3番ホールで、小祝さくらさんに飛距離で負けたそうだ。
久保プロとペアを組んだ塚田好宣プロが、暴露した。
「やめてよ。言っちゃだめよ、恥ずかしいっ」。
小祝さんと女王の山下美夢有さんのペアに8アンダーで、ぶっちぎられて、「頑張っても頑張っても追いつかない。スゴいですね」と、泣き言を言いながらも、シニアの面々は、朝からなんだか楽しそう。
「こんなギャラリーの中で、プレーできるというのはシニアでは経験ない。女子のみなさんは、毎日でしょうけど。嬉しい・・・」と、デレデレしていた。
そんなシニアの面々の目の色が急に変わったのは、合計ポイントで、男子に1点リードで入ってきた後半最後の9番だった。
久保プロと、塚田プロのチームスコアは、石川とヨンハンに2打差の2位。
ほぼ諦めムードでいたのに、石川がティショットをまさかのOB。
「ワンちゃんあるぞ!」と、グリーン回りがざわついた。
久保プロが、男子の隙を突いてアプローチで塚田プロにつなぐとしっかりバーディで、ダブルボギーの石川&ヨンハン組を逆転。
2位に食い込んだ。
大会前夜の決起集会で、シニアのみなさんが今年の目標に掲げたのは、4大会ぶりの4勝目でなく「トップ3に入ること」。
いや、3団体で競ってますけど??
「うちは、大まじめに3位が目標でした」とは先のPGAスタッフさん。
勝ちを相手に譲って欲張らず、明るく楽しく飄々と。
シニアの面々にとってはそれこそが、運を掴む極意みたいだ。最終結果