ジャパンゴルフツアー選手会の新・理事選で、石川遼や堀川未来夢と共に、副会長に初就任した阿久津未来也(あくつ・みきや)は、昨年まで2年つとめた監事職でも、再び最多の得票数を集めたそうだ。
絶大な信望を集めるのは、クラブハウスで食事をとる際にもジャケット着用を欠かさなかったり、各大会後のSNSにスポンサー様への謝意を忘れない、など普段の心がけによる。
就任の心構えも「今年から、副会長をやらせていただくことにはなりましたが、僕の役目はまず若い子たちの意見や希望を聞いて、それを汲み上げてあげることだと思っています」と、間もなく中堅に突入する28歳の自覚に満ちている。
まずは試合で結果を残す、という本分を考えると、「試合数の増加」を選手会の公約に掲げることには、難しさを感じる。
でも、「今年も開催してくださる試合を選手みんなで大切に。観に来てくださった方が、また来たいと思っていただけるように。まだ観に来たことがない方には、行ってみたいと思っていただけるように、いま自分たちができることを丁寧にやっていくことが大事」と、地道な取り組みを呼びかける。
阿久津が今まで以上に力を入れたい、と考えているひとつに、各トーナメントと地元の方々との融合がある。
「もっと一緒に盛り上がっていけたら。地域の方々にとって、年に1度のお祭りみたいに楽しんでいただくことで、男子ゴルフや、ひいてはゴルフ界の活性化にもきっとつなげていけるはず」と、頭を巡らす。
副会長職のほかに、新理事の鍋谷太一(なべたに・たいち)と、新監事の杉本エリックと共に担当することになった広報委員としては、SNSやYouTubeの充実もある。
「そこは先輩たちの知恵や力もお借りして」と、日大の先輩で、絶大な人気を誇るYouTuberの堀川にも大いに学び、自らも実践していくつもりだ。
新・理事会では、これまで続けてきた東日本大震災の復興支援を含めたチャリティ活動に加えて、今年元日に起きた能登半島地震の支援活動についても話し合われたといい、「大変な被害に遭われた方々が、何を一番必要とされているか・・・」。
みんなで考えを出し合い、寄り添い続ける。
祖母の影響で、3歳からゴルフを始めた。
地元・栃木の作新学院高校進学時にゴルフ特待でも推薦を受けたが、あえて難関の「特進コース」で一般受験。
みごと合格し、成績優秀で卒業した。
「大学はゴルフ一本で」と、強豪の日大進学後も、必要単位は3年生ですべて取得。
後輩の星野陸也らにレポートの書き方を教えてやるなど明晰ながら、4年時には「日本学生」で優勝し、文武両道をやりとげた努力家である。
選手会副会長との“二刀流”に期待がかかる今季、いち選手として一番の目標は「ツアー初優勝」。
賞金ランク27位で3季連続の賞金シードを獲得した昨季は、初シードの2021年に続いて、シーズン最終戦「ゴルフ日本シリーズJTカップ」へ2度目の出場を果たしたが、優勝には届かなかった。
「ですから、オフに入ってすぐあちこちで、“次は優勝します”と、言って歩いているんです」。
今年こそ、悲願成就を念頭に、あえて自分を追い込みレールを敷く。
先月は、お世話になる野田トレーナーのご縁でプロ野球オリックスバファローズの安達了一さんの自主トレに、2年連続で参加。
「すべてにおいてレベルが違いました」と、大いに刺激も受けてきた。
「開幕からすぐ、エンジン全開で行けるように」。
男子ゴルフきっての優等生は、本業でももちろん手抜きしない。