通算19勝で、選手会長の谷原秀人(たにはら・ひでと)は、今季4勝を合わせてすでに平田の通算6勝に脱帽した。
「その年齢で6勝って、あと思い浮かぶのは松山英樹くらい。それくらいすごいこと」と24歳の偉業を称えた。
その平田が、今季の「最優秀新人賞 島田トロフィー」を受賞したという。
でも同賞は、JGTOホームページの部門別ランキング表には載らないこともあり、受賞の事実を知らずに、受賞式で名前を呼ばれて「え、僕?」と戸惑いながら登壇した本人以上に、「え、憲聖(けんせい)新人?」と、周囲がざわめいたのも無理はない。
大阪学院大3年時に在学のままプロ転向した2021年から4季目を数えるが、受賞の対象は「ツアープレーヤーとして初めてトーナメントに出場したときから3年以内の者」。
自他ともにもはや新人の意識は超えても「まだ新人と言ってもらえるんですね」と、嬉しそうに壇上に上がってきた。
全身黒のコーディネイトに、ひときわ映える真っ赤なネクタイは、うっかりネクタイを忘れてきた平田に、自身は革靴を忘れて、式典直前に買い物に出た先輩プロの小木曽喬(おぎそ・たかし)が、平田の今年のテーマカラーのピンクに近い色をと、買ってきてくれたものだ。
「でも、靴屋さんは閉まっていて、小木曽さんは靴を買えなくて、ネクタイだけ買ってきてくれた、という。そんなことあります?」。
エピソードが詰まったプレゼントのネクタイは、大事な宝物になった。
「賞金王が目標だったので、獲れなかったのは悔しい」と、吐露した。
でも、「これが1年戦ってきた結果なので」と、気丈に受け止めた。
戴冠を逃した直後の「ゴルフ日本シリーズJTカップ」の会場では尊敬する石川遼ら、大勢の先輩たちに「来年またチャンスはある」と、たくさんの労いを受けて、懸命に涙をこらえていた平田の代わりに報道陣の方が、心情を察して泣いてしまう一幕もあった。