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新人賞とゴルフ記者賞受賞。平田憲聖の幸せな2024

2日、逆転の賞金王が不在のJGTO部門別表彰「ジャパンゴルフツアー表彰式」で、賞金2位が主役になった。



平田憲聖(ひらた・けんせい)は最後、金谷拓実(かなや・たくみ)に抜かれたが、最終戦で6人が可能性を残す史上まれにみる僅差の賞金レースを1位でリード。

今季圧倒的最多の4勝は、そのうち3試合が9月に集まるなど、強烈な強さを見せた。

主催者、関係者のみなさんを招待した式典でのトークショーで、平田と共にマイクを持った“ABEMA賞金王”の山田大晟(やまだ・たいせい)は、「僕も毎週、スタッツを見ていましたけど、また平田憲聖が上にいる、また平田憲聖が勝った、と」。


    共にトークショーに登壇したABEMA賞金王の山田(右2番目)と選手会長の谷原(右)も平田を称えた


      通算19勝で、選手会長の谷原秀人(たにはら・ひでと)は、今季4勝を合わせてすでに平田の通算6勝に脱帽した。
      「その年齢で6勝って、あと思い浮かぶのは松山英樹くらい。それくらいすごいこと」と24歳の偉業を称えた。

      その平田が、今季の「最優秀新人賞 島田トロフィー」を受賞したという。
      でも同賞は、JGTOホームページの部門別ランキング表には載らないこともあり、受賞の事実を知らずに、受賞式で名前を呼ばれて「え、僕?」と戸惑いながら登壇した本人以上に、「え、憲聖(けんせい)新人?」と、周囲がざわめいたのも無理はない。

      大阪学院大3年時に在学のままプロ転向した2021年から4季目を数えるが、受賞の対象は「ツアープレーヤーとして初めてトーナメントに出場したときから3年以内の者」。

      自他ともにもはや新人の意識は超えても「まだ新人と言ってもらえるんですね」と、嬉しそうに壇上に上がってきた。



      全身黒のコーディネイトに、ひときわ映える真っ赤なネクタイは、うっかりネクタイを忘れてきた平田に、自身は革靴を忘れて、式典直前に買い物に出た先輩プロの小木曽喬(おぎそ・たかし)が、平田の今年のテーマカラーのピンクに近い色をと、買ってきてくれたものだ。

      「でも、靴屋さんは閉まっていて、小木曽さんは靴を買えなくて、ネクタイだけ買ってきてくれた、という。そんなことあります?」。

      エピソードが詰まったプレゼントのネクタイは、大事な宝物になった。

      「賞金王が目標だったので、獲れなかったのは悔しい」と、吐露した。
      でも、「これが1年戦ってきた結果なので」と、気丈に受け止めた。

      戴冠を逃した直後の「ゴルフ日本シリーズJTカップ」の会場では尊敬する石川遼ら、大勢の先輩たちに「来年またチャンスはある」と、たくさんの労いを受けて、懸命に涙をこらえていた平田の代わりに報道陣の方が、心情を察して泣いてしまう一幕もあった。


        リキさんもケイタも。先週の会場でもたくさんの人が賞金2位を励ましてくれました



          翌日の式典では新人賞のほかに、普段から選手の活躍を一番近くで見ておられる記者のみなさんの投票で決まる「ゴルフ記者賞」も受賞。
          こちらはすでに壇上で受賞を知り「え、僕?」と、また戸惑いながら記念のトロフィーを受け取った。

          受賞式後にはまた大勢の報道陣のみなさんに囲まれ、「選んでいただいてすごく嬉しいなと思いますし、皆さんにいい記事を書いていただいて、普段から見ているので、来年も頑張って、取り扱っていただけるように頑張ります」と、謝礼を述べた。


          中でも特に笑顔になったのは、愛犬のププとビビの話題になったとき。

          賞金王は逃したけど、賞金2位でたくさん稼いだお金で、「ワンちゃんに、いいごはんを買ってあげたい」と、ニコニコした。

          ワンちゃん愛は自身の飼い犬に、だけでなく、知人の犬に数年ぶりに再会した時も、一度聞いたきりの犬の名前を忘れず呼びかけ、飽きずにずっと、わさわさして遊んであげていたそうだ。

          愛犬家のケンケンが、報道陣に頼まれ、年末恒例の漢字一文字に選出したのは「幸」。

          「先週もうまくいかず、プレッシャーは他の試合より特にあったと思いますし緊張を感じながらプレーしていた。賞金王を逃したのは悔しいですけど、良いも悪いも経験できましたし、今の悔しさはあの位置で戦えていたからそう思えたことで、去年感じることのなかった悔しさ。悔しい思いはしましたけど『幸せ』かな」。

          詰めかけた報道陣も、ほっこりした。

          ⛳2024年ジャパンゴルフツアー表彰式受賞者一覧
          ・最優秀選手賞 金谷拓実(初受賞)
          ・賞金ランキング賞 金谷拓実(初受賞)
          ・メルセデス・ベンツトータルポイントランキング賞 金谷拓実(初受賞)
          ・最優秀新人賞 島田トロフィー 平田憲聖(初受賞)
          ・ABEMAツアー賞金ランキング賞 山田大晟(初受賞)
          ・平均ストローク賞 金谷拓実(初受賞)
          ・平均パット賞 清水大成(初受賞)
          ・パーキープ率賞 金谷拓実(2季連続3回目)
          ・パーオン率賞 金谷拓実(初受賞)
          ・バーディ率賞 清水大成(初受賞)
          ・イーグル率賞 幡地隆寛(初受賞)
          ・ドライビングディスタンス賞 河本力(3季連続3回目)
          ・フェアウェイキープ率賞 稲森佑貴(9季連続9回目)
          ・サンドセーブ率賞 平本世中(初受賞)
          ・トータルドライビング賞 金谷拓実(2季連続2回目)
          ・ゴルフ記者賞 平田憲聖(初受賞)