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ダンロップフェニックス 2000
「やっと吹っ切れました」
最終18番パー5は、グリーン手前エッジ15メートルのイーグルショットを、パターで決めた。「最後はオマケ」と照れ笑いを浮かべながらも、持ち味の豪快なゴルフが戻ってきた。
先々週の大会まで、「バーディが待てなかった」という。今季低迷し、賞金ランクは 65位でシード入りさえきわどい状況だった。
「こんなことはここ数年ないことでした。なんとかシード入りしたくて、上より下を意識するゴルフになっていた。ボギーが続くと、もう待てない。『いずれバーディが来る』と、プラスに考えられないんです。どんどんゴルフがマイナス志向になって、それが裏目に出て、予選落ち…プレーしていても本当につらかった」
ここ数ヶ月、悩みぬいた。今季大活躍の後輩、宮瀬博文の活躍がますます、気持ちを暗くした。
「自分の調子が良い時なら、ヒロ(宮瀬)の活躍も励みになったと思うんです。でも、ヒロの活躍が、何か別の人(他人事)みたいで…。自分のことで精一杯で、ヒロに活躍にも、前向きになれなかったんです」
それが、先週の住友VISA太平洋マスターズ。6つのバーディを奪った2日目から、ガラリと加瀬のゴルフが変わった。
「あのときは、何も考えずに思いきりゴルフができたんです。あんなこと、久しぶりでした。あれから、切羽詰まった気持ちが消えて、途端に楽にプレーできるようになりました」
今季ベストフィニッシュの12位で賞金ランク55位に入って、シード権を確定することできたのだ。「本当にホっとして、やっと吹っ切れました」と加瀬。
初日のこの日は、引き続き、先週の好感触を味わいながらの66。4位タイにつけ、「調子が良くなると、急に宮瀬のことも励みなっちゃたりして(笑)。気持ちひとつですべてが変わるんですね。今週も頑張れそう」と話す笑顔は、終始、おだやかだった。