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マンシングウェアオープンKSBカップ 2002
「バーディも多いけど…」
18番は、6メートルのイーグルチャンス。
これを決めれば、通算11アンダーで久保谷らに並び、プレーオフに進める。
使い始めて2年になる長尺パターで、慎重に狙いを定めて打った。
ボールは、まっすぐカップへ向かっていくかに見えたが、最後のひと転がりで、わずかにカップをそれた。
「ああもう少しだったのに!!」
クラブハウスへ戻ってきた金は、全身で、悔しさを表現したが、その表情は、充実感に溢れていた。
久々の優勝争い。
「ここまで戦えるようになったことには、とても満足です」
年間2勝した99年の翌年から、低迷が続いていた。
頼りにしていた良き仲間が、いなくなったからだ。
先月、米ツアーで初優勝をチェ・キョンジュ。
チェが、まだ、日本ツアーで戦っていたころは、お互いの欠点を指摘しあい、成績に残すことができた。
だが、チェが米ツアーに旅立ってからは、「誰も、教えてくれる人がいなくなって…」
特に、金の弱点だったパットに、大きく影響したのだ。
それが、今年になって再び、回復傾向を見せ始めたのは、今季から、日本ツアーに本格参戦している同じ韓国出身のY・E・ヤンの存在が、大きいという。
「ちょっとインサイドに引きすぎていたのを、真っ直ぐにしてみたらと言ってくれて。それですごく良くなったんですよ」
おかげで、この週は22個のバーディを奪い、大会特別賞の『バーディオブザウィーク賞(最多バーディ賞)』の100万円をゲット。
新しい友人のアドバイスに「感謝、感謝(笑)」の金は、ホールアウト後、ひとしきり、ヤンにこの日のラウンドについて、報告したあと、
「でもねえ、ボク、バーディも多いかわりに、ボギーも多いんだよねえ…」とポツリ。
「それじゃあ、勝てないよねえ…」とヤン。
しばらく、互いの顔を見合わせて、大爆笑の2人だった。